
注文住宅を建てたあとに忘れてはいけないのが、住宅ローン控除の確定申告です。
「住宅ローン控除は年末調整だけでいい?」
「会社員でも確定申告が必要?」
「必要書類は何を準備すればいい?」
「土地から買った場合は書類が増える?」
「ペアローンだと夫婦それぞれ申告するの?」
このような疑問を持つ人は多いでしょう。
結論から言うと、住宅ローン控除を初めて受ける年は、会社員でも確定申告が必要です。
国税庁は、住宅ローン控除を初めて受ける場合、住宅の区分に応じた提出書類を添付して確定申告を行う必要があると案内しています。2年目以降は、給与所得者であれば年末調整で対応できる場合があります。
つまり、注文住宅を建てた年に「会社が年末調整してくれるから大丈夫」と放置すると、住宅ローン控除を受ける手続きができていない可能性があります。
この記事では、注文住宅で住宅ローン控除を受けるための確定申告について、必要書類、手順、土地あり・土地なしの違い、ペアローンの注意点、よくある失敗を初心者向けに解説します。
この記事でわかること
- 住宅ローン控除の確定申告が必要な人
- 初年度と2年目以降の手続きの違い
- 注文住宅で必要になりやすい書類
- 土地から購入した場合に追加で必要な書類
- ペアローン・連帯債務の注意点
- 確定申告の基本的な流れ
- 書類不足で失敗しないためのチェックポイント
住宅ローン控除の確定申告とは

住宅ローン控除の確定申告とは、住宅ローンを利用してマイホームを新築・取得した人が、一定の条件を満たす場合に、所得税の控除を受けるための手続きです。
住宅ローン控除は、正式には「住宅借入金等特別控除」といいます。
住宅ローンを組んだだけで自動的に控除されるわけではありません。
初年度は、自分で必要書類をそろえ、確定申告をする必要があります。
国税庁は、住宅ローン等を利用してマイホームの新築・取得・増改築等をした場合、一定の要件を満たすことで所得税の減税を受けられると案内しています。
ここで重要なのは、住宅ローン控除は「住宅会社が手続きしてくれる制度」ではないことです。
住宅会社や金融機関が書類を用意してくれる部分はありますが、最終的に申告するのは本人です。
初年度は会社員でも確定申告が必要
会社員の場合、普段は年末調整だけで税金の手続きが終わる人が多いです。
しかし、住宅ローン控除を初めて受ける年は、会社員でも確定申告が必要です。
国税庁は、住宅ローン控除を初めて受ける場合は確定申告が必要で、書類上の数値を確定申告書等作成コーナーに入力することで控除額が自動計算されると案内しています。
たとえば、2026年中に注文住宅へ入居した場合、原則として2027年の確定申告時期に、2026年分の所得税について申告します。
確定申告の対象になる年は、基本的に「入居した年」です。
土地を契約した年でも、住宅ローンを申し込んだ年でも、工事請負契約をした年でもありません。
実際にその住宅へ住み始めた年が重要です。
2年目以降は年末調整で対応できる場合がある
給与所得者の場合、住宅ローン控除の2年目以降は年末調整で手続きできる場合があります。
国税庁は、給与所得者について、住宅ローン控除を受ける最初の年分は確定申告が必要で、2年目以後は年末調整で適用を受けることができると案内しています。
2年目以降に勤務先へ提出する主な書類は、次のとおりです。
- 年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書
- 給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書
- 住宅ローンの年末残高証明書
ただし、転職した場合、ペアローンの場合、借り換えをした場合、増改築がある場合などは、扱いが複雑になることがあります。
不安がある場合は、勤務先の年末調整担当者や税務署へ確認してください。
確定申告の時期

確定申告は、原則として翌年の申告期間に行います。
たとえば、2026年中に入居した場合、2027年の確定申告で2026年分を申告する流れです。
会社員で還付申告になる場合は、通常の確定申告期間より前から手続きできる場合もありますが、実際の受付期間や方法はその年の国税庁情報で確認してください。
重要なのは、入居した年の翌年に手続きが必要だと覚えておくことです。
家づくりでは、引き渡し後に引っ越し、外構、家具家電、住所変更、火災保険、登記書類などが重なります。
その結果、住宅ローン控除の確定申告を後回しにしがちです。
しかし、書類をなくすと手続きが面倒になります。
入居後すぐに、確定申告用の書類を一つのファイルにまとめておきましょう。
注文住宅で必要な主な書類
注文住宅で住宅ローン控除を受ける場合、必要書類は住宅の種類や土地購入の有無によって変わります。
国税庁は、令和4年以降に居住の用に供した場合の住宅借入金等特別控除について、計算明細書、年末残高等証明書、登記事項証明書、工事請負契約書の写し、土地購入に係る書類などを共通の提出書類として案内しています。
住宅借入金等特別控除額の計算明細書
住宅ローン控除額を計算するための書類です。
確定申告書等作成コーナーを利用すれば、入力内容に応じて作成できます。
連帯債務がある場合は、連帯債務がある場合の住宅借入金等の年末残高の計算明細書も必要になる場合があります。
住宅ローンの年末残高等証明書
金融機関から発行される、年末時点の住宅ローン残高を示す書類です。
住宅ローン控除では、この年末残高が控除額計算に関係します。
複数の住宅ローンがある場合や、ペアローンの場合は、それぞれの残高証明書を確認してください。
家屋の登記事項証明書
建物の床面積や取得内容を確認するために必要です。
法務局で取得できます。
オンライン請求も可能ですが、慣れていない人は司法書士や住宅会社に取得方法を確認しておくと安全です。
工事請負契約書の写し
注文住宅では、住宅会社と結んだ工事請負契約書の写しが必要になります。
建物の取得対価を確認するためです。
契約後に変更契約をしている場合は、変更後の金額がわかる書類も整理しておきましょう。
土地を購入した場合の書類
土地から購入して注文住宅を建てた場合は、土地に関する書類も必要になります。
国税庁は、土地購入に係る住宅借入金等について控除を受ける場合、土地の登記事項証明書などで敷地の取得年月日を明らかにする書類と、土地売買契約書の写しなど土地の取得対価を明らかにする書類が必要と案内しています。
必要になりやすい書類は次のとおりです。
- 土地の登記事項証明書
- 土地の売買契約書の写し
- 土地取得費がわかる書類
- 土地の住宅ローン年末残高証明書
土地なしで注文住宅を建てる場合、書類が増えることを前提にしてください。
土地売買契約書と建物の工事請負契約書を別々に保管しておくことが重要です。
住宅性能に関する書類
住宅ローン控除では、住宅性能の区分によって借入限度額や控除期間が変わります。
2026年から2030年までの住宅ローン減税は、適用期限が5年間延長されており、住宅性能に応じて借入限度額や控除期間が整理されています。
注文住宅で確認したい住宅性能区分は、主に次のとおりです。
- 長期優良住宅
- 低炭素住宅
- ZEH水準省エネ住宅
- 省エネ基準適合住宅
住宅性能を証明する書類は、住宅会社や評価機関から発行されるものが関係します。
たとえば、長期優良住宅や低炭素住宅の場合は、認定通知書や住宅用家屋証明書、建築士等の証明書などが必要になることがあります。国税庁も、認定長期優良住宅や低炭素建築物について、区分に応じた書類を案内しています。
住宅会社へは、引き渡し前に次を確認してください。
- 住宅ローン控除の住宅性能区分
- 必要な証明書の種類
- 証明書の発行者
- 証明書の発行時期
- 発行費用
- 確定申告で使う書類の控え
「性能は満たしています」と言われても、申告時に証明書がなければ手続きで困ります。
住宅性能は、言葉ではなく書類で確認してください。
補助金や贈与がある場合の書類
注文住宅では、補助金や親からの資金援助を受けるケースがあります。
この場合、住宅ローン控除の計算に影響することがあります。
国税庁は、補助金等の交付を受けた場合は補助金等の額を証する書類、住宅取得等資金の贈与の特例を受けた場合は贈与税の申告書など住宅取得等資金の額を証する書類の写しが必要と案内しています。
該当する人は、次の書類を保管してください。
- 補助金交付決定通知書
- 補助金確定通知書
- 補助金の振込額がわかる資料
- 贈与契約書
- 贈与税の申告書控え
- 住宅取得等資金の贈与に関する資料
ここを雑に扱うと、住宅ローン控除の計算や贈与税の手続きでつまずきます。
親からの援助がある場合は、住宅会社だけでなく、税務署や税理士へ確認する方が安全です。
確定申告の基本手順

住宅ローン控除の確定申告は、次の流れで進めます。
必要書類を集める
まず、必要書類を集めます。
最初にやるべきことは、確定申告書を作ることではありません。
書類をそろえることです。
注文住宅で最低限確認したい書類は次のとおりです。
- 住宅ローンの年末残高証明書
- 建物の登記事項証明書
- 工事請負契約書の写し
- 土地の登記事項証明書
- 土地の売買契約書の写し
- 住宅性能を証明する書類
- 補助金に関する書類
- 贈与に関する書類
- 源泉徴収票の内容
- マイナンバー確認書類
- 本人確認書類
書類が不足していると、入力途中で止まります。
特に土地あり・ペアローン・補助金あり・長期優良住宅の場合は、必要書類が増えやすいので注意してください。
確定申告書等作成コーナーで入力する
国税庁の確定申告書等作成コーナーを使うと、画面の案内に沿って入力できます。
e-TaxのFAQでは、作成コーナーで住宅ローン控除を入力する場合、「所得・控除の入力」または「控除の入力」から「住宅借入金等特別控除」を選ぶと案内されています。
入力する主な内容は次のとおりです。
- 入居年月日
- 住宅の取得対価
- 土地の取得対価
- 床面積
- 住宅ローン年末残高
- 住宅性能区分
- 補助金額
- 贈与資金の有無
- 連帯債務の有無
入力ミスがあると、控除額が正しく計算されない可能性があります。
契約書や登記事項証明書を見ながら、数字を正確に入力してください。
申告書を提出する
確定申告書は、主に次の方法で提出できます。
- e-Taxで送信する
- 印刷して税務署へ郵送する
- 印刷して税務署へ持参する
マイナンバーカードを持っている人は、e-Taxを利用しやすくなっています。
ただし、添付書類の提出方法や省略可否は内容によって異なります。
作成コーナーの案内や税務署の指示に従ってください。
還付金を確認する
住宅ローン控除により所得税が還付される場合、申告後に指定口座へ振り込まれます。
ただし、還付額は人によって異なります。
年末ローン残高の0.7%が必ず全額戻るわけではありません。
実際の控除額は、所得税額、住民税からの控除上限、借入限度額、住宅性能、補助金、所得要件などによって変わります。
住宅ローン控除は、返済能力を増やす制度ではありません。
「控除で戻るから大丈夫」と考えて借りすぎるのは危険です。
ペアローンの場合の注意点
ペアローンの場合、夫婦それぞれが住宅ローンを契約しているため、夫婦それぞれで住宅ローン控除の手続きが必要になる場合があります。
ペアローンでは、次の項目を整理してください。
- 夫の借入額
- 妻の借入額
- 夫の年末残高証明書
- 妻の年末残高証明書
- 土地と建物の持分
- 自己資金の負担割合
- 住宅ローン控除を受ける人
- それぞれの所得税・住民税額
連帯債務がある場合は、連帯債務がある場合の住宅借入金等の年末残高の計算明細書も必要になる場合があります。国税庁の提出書類にも、連帯債務がある場合の付表が示されています。
ペアローンや連帯債務では、持分と負担割合が重要です。
持分と実際の負担が大きくずれている場合、税務上の確認が必要になることがあります。
住宅ローン控除のメリットだけを見て、持分を適当に決めるべきではありません。
土地から購入した場合の注意点
土地から購入して注文住宅を建てた人は、建物だけでなく土地の書類も必要です。
土地代も住宅ローン控除の対象に含める場合、土地の取得年月日や取得対価を確認できる書類が必要になります。国税庁は、土地購入に係る住宅借入金等について控除を受ける場合、土地の登記事項証明書や土地売買契約書の写しなどを案内しています。
土地ありの申告で特に注意したいのは、次の点です。
- 土地の契約書をなくさない
- 土地の登記事項証明書を準備する
- 土地ローンと建物ローンの残高を分けて確認する
- つなぎ融資や土地先行融資の扱いを確認する
- 土地取得から建物入居までのスケジュールを整理する
土地を先に買い、後から建物を建てた場合は、契約書とローン関係が複雑になりやすいです。
土地と建物の資料をまとめて、税務署に説明できる状態にしておきましょう。
確定申告で失敗しやすいパターン
年末調整だけで済むと思っていた
最も多い失敗は、初年度から年末調整で済むと思っているケースです。
会社員でも、初年度は確定申告が必要です。
勤務先が自動でやってくれるわけではありません。
2年目以降は年末調整で対応できる場合がありますが、初年度だけは自分で動く必要があります。
必要書類をなくす
工事請負契約書、土地売買契約書、住宅性能証明書、補助金通知書などをなくすと、再発行や確認に時間がかかります。
特に、引き渡し後は書類が大量に増えます。
住宅ローン控除用のファイルを作り、次の書類をまとめてください。
- 契約書
- 登記事項証明書
- 残高証明書
- 住宅性能証明書
- 補助金書類
- 贈与関係書類
- 確定申告控え
住宅性能区分を確認していない
住宅ローン控除では、住宅性能区分が重要です。
長期優良住宅、ZEH水準省エネ住宅、省エネ基準適合住宅などで、借入限度額や控除期間が変わります。
2026年以降の住宅ローン減税は、令和8年度税制改正で適用期限が延長され、住宅性能ごとの措置が示されています。
住宅会社から「控除対象です」と言われただけで安心してはいけません。
必要な証明書があるかまで確認しましょう。
控除額を過大評価している
住宅ローン控除は、年末ローン残高の0.7%を基準に計算されます。
しかし、実際に戻る金額は、納めている所得税や住民税、借入限度額、住宅性能によって変わります。
納税額が少ない場合は、控除しきれないこともあります。
つまり、「住宅ローン控除で毎年必ず大きく戻る」と考えるのは危険です。
資金計画は、住宅ローン控除がなくても返済できる前提で組むべきです。
ペアローンの申告を片方だけで済ませる
ペアローンでは、夫婦それぞれが住宅ローン控除を受けるなら、それぞれの申告が必要になる場合があります。
夫婦のどちらか一方だけが申告すれば、両方の控除が自動的に適用されるわけではありません。
それぞれの借入額、残高証明書、持分、所得を確認してください。
確定申告前チェックリスト
基本書類
□ 住宅ローン年末残高証明書を準備した
□ 建物の登記事項証明書を準備した
□ 工事請負契約書の写しを準備した
□ 入居年月日を確認した
□ 源泉徴収票の内容を確認した
□ マイナンバー確認書類を準備した
□ 本人確認書類を準備した
土地ありの場合
□ 土地の登記事項証明書を準備した
□ 土地売買契約書の写しを準備した
□ 土地の取得年月日を確認した
□ 土地ローンの年末残高証明書を確認した
□ 土地代と建物代を分けて整理した
住宅性能
□ 住宅性能区分を確認した
□ 長期優良住宅か確認した
□ ZEH水準省エネ住宅か確認した
□ 省エネ基準適合住宅か確認した
□ 必要な証明書を準備した
□ 証明書の発行元を確認した
補助金・贈与
□ 補助金の交付決定通知書を保管した
□ 補助金額がわかる書類を準備した
□ 親からの援助額を整理した
□ 贈与税申告の有無を確認した
□ 贈与関係書類を保管した
ペアローン・連帯債務
□ 夫婦それぞれの借入額を確認した
□ 夫婦それぞれの残高証明書を準備した
□ 持分割合を確認した
□ 連帯債務の付表が必要か確認した
□ 夫婦それぞれが申告するか確認した
よくある質問
Q1. 住宅ローン控除の初年度は年末調整だけでできますか?
できません。
住宅ローン控除を初めて受ける年は、会社員でも確定申告が必要です。2年目以降は、給与所得者であれば年末調整で対応できる場合があります。
Q2. 確定申告はいつすればいいですか?
原則として、入居した年の翌年に行います。
たとえば、2026年に入居した場合は、2027年に2026年分の確定申告をします。
申告期間や受付方法は、その年の国税庁情報を確認してください。
Q3. 土地から買った場合は何が追加で必要ですか?
土地の登記事項証明書、土地売買契約書の写し、土地の取得年月日や取得対価がわかる書類などが必要になる場合があります。土地に係る住宅ローンを控除対象にする場合は、建物だけでなく土地の資料も準備してください。
Q4. ペアローンの場合は夫婦それぞれ確定申告が必要ですか?
夫婦それぞれが住宅ローン控除を受ける場合、それぞれの申告が必要になる場合があります。
借入額、年末残高証明書、持分、所得を夫婦別に整理してください。
Q5. 住宅ローン控除の書類は住宅会社が全部用意してくれますか?
全部は用意してくれません。
住宅会社が発行・案内してくれる書類もありますが、金融機関の残高証明書、登記事項証明書、本人確認書類、源泉徴収票の内容、補助金や贈与関係書類などは、自分で準備・確認する必要があります。
Q6. 書類が足りない場合はどうすればいいですか?
まず、どの書類が足りないのかを確認してください。
住宅会社、金融機関、法務局、税務署、自治体など、発行元が異なります。
不明なまま申告するのではなく、申告前に税務署へ確認する方が安全です。
まとめ|住宅ローン控除は初年度の確定申告が重要
住宅ローン控除は、注文住宅を建てた人にとって大きなメリットがある制度です。
しかし、初年度の確定申告を忘れると、控除を受けるための手続きができません。
最後に、重要ポイントをまとめます。
- 住宅ローン控除の初年度は会社員でも確定申告が必要
- 2年目以降は年末調整で対応できる場合がある
- 必要書類は住宅の種類や土地購入の有無で変わる
- 注文住宅では工事請負契約書と建物登記書類が重要
- 土地から買った場合は土地の契約書と登記書類も必要
- 住宅性能を証明する書類を必ず確認する
- 補助金や贈与がある場合は関連書類を保管する
- ペアローンでは夫婦それぞれの借入額と持分を整理する
- 控除額を過大評価して借りすぎない
- 書類は入居後すぐに一つのファイルへまとめる
住宅ローン控除は、手続きすれば家計の助けになります。
ただし、制度に頼って住宅ローンを増やすものではありません。
注文住宅を建てる場合は、入居後の確定申告まで含めて家づくりの流れとして管理し、必要書類を早めに整理しておきましょう。
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