
注文住宅の予算を考えるとき、多くの人が建物本体価格と土地代を中心に見ます。
しかし、実際に資金計画を崩しやすいのは、建物本体以外にかかる「諸費用」です。
「土地ありなら何にお金がかかる?」
「土地なしだと仲介手数料以外に何が増える?」
「外構や地盤改良は諸費用に入る?」
「住宅ローンや登記の費用はいつ払う?」
こうした費用を曖昧にしたまま土地契約や工事請負契約へ進むと、契約後に建物の仕様、外構、家具家電などを削ることになります。
結論から言うと、注文住宅の諸費用は「建物価格の何%」だけで決めるべきではありません。
土地の有無、仲介の有無、住宅ローンの種類、地盤や造成の状態、外構計画によって必要額が大きく変わるからです。
住宅金融普及協会は、住宅取得時の諸費用として、住宅ローン関連費用、不動産取得税などの税金、仲介手数料、引っ越し費用などを挙げています。目安として建設費・購入価格の約1割程度が必要になる場合があると案内していますが、注文住宅では土地取得や追加工事の有無で差が広がるため、一律の割合を正解として扱うのは危険です。
この記事では、土地あり・土地なし別に諸費用を整理し、支払い時期、見落としやすい費用、資金計画で失敗しないための確認事項を解説します。
この記事でわかること
- 注文住宅で必要になる諸費用の全体像
- 土地ありの場合に必要な費用
- 土地なしの場合に追加される費用
- 諸費用と付帯工事費の違い
- 支払い時期と住宅ローンの注意点
- 契約前に確認すべき費用項目
- 諸費用で予算オーバーを防ぐ方法
注文住宅における諸費用とは何か

注文住宅でいう諸費用とは、建物本体価格や土地代以外に必要になるお金です。
ただし、住宅会社、不動産会社、金融機関によって、どこまでを「諸費用」と呼ぶかは異なります。
そのため、資金計画では費用を次の4つに分けて考えるとわかりやすくなります。
| 区分 | 主な費用 |
|---|---|
| 契約・税金 | 印紙税、登録免許税、不動産取得税など |
| 住宅ローン | 事務手数料、保証料、団体信用生命保険、つなぎ融資など |
| 建築関連 | 地盤調査、地盤改良、付帯工事、申請費用など |
| 入居関連 | 外構、照明、カーテン、エアコン、家具家電、引っ越しなど |
重要なのは、法律上の諸費用だけで予算を組まないことです。
実際に入居するまでには、外構、照明、カーテン、エアコン、家具家電、引っ越し費なども必要になります。
住宅金融普及協会は、住宅取得時に印紙税、仲介手数料、登記関連費用、不動産取得税、火災保険などが発生し得ることを案内しています。
土地ありの諸費用
すでに土地を持っている場合、土地代や土地の仲介手数料は原則として不要です。
ただし、「土地があるから諸費用は少ない」と考えるのは危険です。
土地の状態によっては、地盤改良、造成、擁壁補修、上下水道工事、外構費などが大きくなる場合があります。
契約時にかかる費用
建物を建てる場合、工事請負契約書に関する印紙税が必要になる場合があります。
不動産売買契約書や建設工事請負契約書については、令和9年3月31日までに作成される一定の契約書を対象に、印紙税の軽減措置が設けられています。契約金額によって税額は異なるため、契約前に住宅会社へ確認してください。
また、住宅ローンを利用する場合は、住宅ローン契約、抵当権設定登記、登記手続きに関する費用も確認が必要です。
登記にかかる費用
新築住宅では、建物の所有権保存登記や、住宅ローンを利用する場合の抵当権設定登記が必要になります。
登記には登録免許税がかかり、手続きを司法書士へ依頼する場合は司法書士報酬も必要です。
登録免許税は、登記の種類によって課税標準と税率が異なります。所有権や抵当権の登記に関する税金であり、実際の費用は建物評価額、借入額、登記内容などによって変動します。
住宅ローンにかかる費用
住宅ローンを使う場合は、次のような費用が発生する可能性があります。
- 融資事務手数料
- 保証料
- 団体信用生命保険の上乗せ費用
- 印紙税
- 抵当権設定登記費用
- 火災保険料
- つなぎ融資の手数料・利息
- 分割融資に関する手数料
金融機関によって、保証料が別途必要な商品、金利に含まれる商品、事務手数料が定額の商品、借入額に応じて増える商品などがあります。
「金利が低い」だけで選ぶのではなく、初期費用を含めた総支払額で比較してください。
土地ありでも増えやすい費用
土地を持っている場合でも、次の費用は見落とされやすい項目です。
| 費用 | 注意点 |
| 地盤調査・改良 | 地盤調査後に改良が必要になる場合がある |
| 造成費 | 高低差や整地が必要な土地で増えやすい |
| 擁壁補修 | 古い擁壁や土留めがある場合は要確認 |
| 上下水道工事 | 引き込みや口径変更が必要な場合がある |
| 解体費 | 古家・倉庫・ブロック塀が残っている場合 |
| 外構費 | 駐車場、門柱、フェンス、庭、土留めなど |
| 地盤保証 | 住宅会社ごとの条件を確認する |
土地がある場合は、土地価格よりも「土地を建てられる状態にする費用」を確認することが重要です。
土地なしの諸費用
土地なしで注文住宅を建てる場合は、土地ありの場合の費用に加えて、土地購入に関する費用が増えます。
最も見落としやすいのは、土地代以外にもまとまった現金が必要になる点です。
土地の仲介手数料
不動産会社の仲介で土地を購入する場合、仲介手数料が発生します。
仲介手数料は、売主と買主の間で売買契約を成立させるための報酬です。一般には「売買代金の3%+6万円」と説明されることが多いですが、実際には消費税、低廉な空家等の特例、取引内容などで扱いが変わる場合があります。見積書で必ず確認してください。
なお、売主が不動産会社で仲介会社を通さず直接購入する場合は、通常、買主側の仲介手数料は発生しません。
ただし、仲介手数料が不要だから安いとは限りません。土地価格、建築条件、建物価格、外構費まで含めて判断してください。
土地の登記関連費用
土地を購入する場合は、所有権移転登記が必要になります。
住宅ローンを使う場合は、土地にも抵当権を設定することが一般的です。
住宅金融普及協会は、土地・建物の取得時には所有権保存登記や移転登記による登録免許税がかかり、住宅ローンを利用する場合には抵当権設定登記にも登録免許税がかかると案内しています。
土地購入時の税金
土地を取得した後には、不動産取得税が発生する場合があります。
住宅取得に関する不動産取得税は、住宅取得時の負担軽減を目的として、税率を3%へ軽減する特例が令和9年3月31日まで設けられています。また、新築住宅では課税標準から1,200万円を控除する特例があります。適用条件や手続きは土地・建物の状況で変わるため、都道府県税事務所や住宅会社へ確認してください。
不動産取得税は、契約時に支払う費用ではありません。
一般に、取得後しばらくしてから納税通知書が届くため、入居後の資金計画にも残しておく必要があります。住宅金融普及協会は、土地・建物取得後、入居からおよそ半年後に不動産取得税の納税通知書が郵送されるとして案内しています。
土地なしで追加されやすい費用
| 費用 | 内容 |
| 仲介手数料 | 仲介会社を通じて土地を購入する場合 |
| 土地の登記費用 | 所有権移転登記、抵当権設定登記など |
| 土地売買契約の印紙税 | 契約金額により異なる |
| 不動産取得税 | 取得後に課税される場合がある |
| 土地測量・境界関連 | 土地の状況により必要になる場合がある |
| 土地先行融資 | 土地代を先に支払う場合に検討する |
| つなぎ融資 | 土地代・着工金・中間金への対応 |
| 解体・造成費 | 古家付き・高低差・擁壁がある土地など |
土地なしの場合は、建物完成前に土地代金の決済が必要になります。
さらに、注文住宅では着工金や中間金の支払いが発生することが一般的です。手元資金が不足する場合、つなぎ融資や分割融資、土地先行融資を利用する可能性があります。
支払い時期を確認する

注文住宅で資金計画が崩れる原因は、総額だけではありません。
「いつ、いくら必要か」を把握していないことも大きな原因です。
土地契約前
土地購入では、申込金や手付金が必要になる場合があります。
ただし、手付金は通常、土地代金の一部として扱われるものであり、単純な諸費用とは異なります。
契約解除時の扱い、ローン特約、返還条件は契約書で必ず確認してください。
土地決済時
土地なしの場合、土地代金の残金、仲介手数料、登記費用、固定資産税などの精算金が必要になることがあります。
土地購入後に住宅を建てる場合は、建物完成前に土地代金を支払う必要があります。住宅金融普及協会も、土地購入から注文住宅を建築する場合には、建物完成前の土地代金決済と、建築中の着工金・中間金支払いを前提に資金計画を立てる必要があると案内しています。
工事請負契約時

住宅会社と工事請負契約を結ぶ際には、契約金や印紙税が必要になる場合があります。
建物本体価格の全額を契約時に払うわけではありませんが、住宅会社ごとに支払い条件は異なります。
契約前に、次の項目を必ず確認してください。
- 契約金
- 着工金
- 中間金
- 完成時金
- 支払い割合
- 支払い期限
- 住宅ローン実行時期
- つなぎ融資の要否
- 分割融資の利用可否
引き渡し時
建物完成時には、残代金、登記費用、火災保険料、住宅ローン関連費用などが必要になる場合があります。
住宅金融支援機構は、新築住宅の購入・建築において、抵当権設定登記、火災保険手続き、諸費用の精算が発生する流れを案内しています。
入居後
入居後にも、不動産取得税、固定資産税、都市計画税などが発生します。
固定資産税と都市計画税は、毎年1月1日時点で土地・建物を所有している人に課税されます。税率や減免措置は自治体によって異なるため、建築予定地の自治体へ確認してください。
諸費用と付帯工事を分ける
注文住宅の見積もりでは、「諸費用」と「付帯工事費」が混同されやすいです。
ここを混ぜて考えると、住宅会社の見積もり比較ができません。
諸費用に入りやすいもの
- 印紙税
- 登録免許税
- 不動産取得税
- 住宅ローン手数料
- 保証料
- 火災保険料
- 仲介手数料
- 司法書士報酬
- 引っ越し費用
付帯工事に入りやすいもの
- 仮設工事
- 給排水工事
- 屋外給排水工事
- 地盤改良工事
- 解体工事
- 造成工事
- 外構工事
- 太陽光発電工事
- 照明・カーテン工事
- エアコン工事
「建物本体価格が安い」と感じても、付帯工事や外構が見積もりに含まれていなければ、最終総額は安くなりません。
比較するべきなのは坪単価ではなく、入居可能な状態になるまでの総額です。
見落としやすい費用
外構費
外構費は、建物本体価格に含まれていないことが多い費用です。
駐車場、カーポート、門柱、フェンス、アプローチ、宅配ボックス、植栽、土留めなどが対象になります。
特に、土地に高低差がある場合、道路との段差が大きい場合、駐車場を複数台確保する場合は、外構費が増えやすくなります。
照明・カーテン・エアコン
モデルハウスでは当たり前のように設置されている照明、カーテン、エアコンも、見積もりでは別途になっている場合があります。
契約前に、次を確認してください。
- 照明器具はどこまで含まれるか
- カーテンレールは含まれるか
- カーテン費用は含まれるか
- エアコンは何台分を想定しているか
- 配管工事や隠蔽配管は含まれるか
- 室外機の設置場所は決まっているか
地盤改良費
地盤改良の要否は、一般に地盤調査後に確定します。
契約前に正確な金額が出ないケースもありますが、だからといって予算に入れなくてよいわけではありません。
住宅会社へ、周辺の地盤傾向、近隣施工例、想定される工法、予備費として確保すべき金額を確認してください。
火災保険と地震保険
火災保険の加入条件や補償内容は、住宅ローン商品や金融機関によって異なります。
住宅金融支援機構の財形住宅融資では、返済終了まで建物に火災保険を付けることを要件としており、保険料は利用者負担と案内されています。住宅ローンを選ぶ際は、保険料を含めた初期費用と補償範囲を確認してください。
固定資産税の初年度
固定資産税は契約時の費用ではありません。
しかし、入居翌年以降の家計に確実に影響するため、住宅ローン返済額だけで家計を判断してはいけません。
住宅購入後に必要となる税金、保険、修繕費も含めて、毎月の支出を試算してください。
諸費用を抑える考え方
諸費用を抑えるために、必要な費用を無理に削るべきではありません。
削るべきなのは、不要な重複や比較不足によるコストです。
住宅ローンを総額で比較する
住宅ローンは金利だけで決めないでください。
事務手数料、保証料、団体信用生命保険、つなぎ融資の有無、分割融資の条件、繰上返済手数料まで比較する必要があります。
借入可能額は、総返済負担率、購入価格、担保評価額、金融機関ごとの融資条件などで決まります。借りられる額をそのまま予算にせず、返済後の家計に余裕が残る額で判断してください。
見積書の別途項目を減らす
住宅会社へ見積もりを依頼するときは、「本体価格だけ」ではなく、次の項目を含めた概算総額を出してもらいましょう。
- 建物本体
- 付帯工事
- 地盤改良の想定
- 外構
- 照明
- カーテン
- エアコン
- 住宅ローン費用
- 登記費用
- 火災保険
- 土地仲介手数料
- 家具家電
- 引っ越し費
別途項目が多い見積もりは、安く見えても比較しにくくなります。
土地契約を急がない
土地を逃したくない焦りで契約すると、仲介手数料、地盤改良、造成、外構、住宅ローンの支払い時期を確認しないまま進むことがあります。
土地なしの場合は、土地価格だけではなく、土地を買って家を建てて入居するまでの総額を確認してください。
諸費用の確認表
土地ありの場合
□ 工事請負契約書の印紙税を確認した
□ 建物保存登記と抵当権設定登記を確認した
□ 司法書士費用を確認した
□ 住宅ローンの事務手数料と保証料を確認した
□ 火災保険・地震保険を確認した
□ 地盤調査・地盤改良費を確認した
□ 造成・擁壁・解体費を確認した
□ 外構費を確認した
□ 照明・カーテン・エアコン費を確認した
□ 家具家電・引っ越し費を確保した
土地なしの場合
□ 土地の仲介手数料を確認した
□ 土地売買契約書の印紙税を確認した
□ 土地所有権移転登記費用を確認した
□ 土地の抵当権設定費用を確認した
□ 不動産取得税を確認した
□ 土地決済時の支払い額を確認した
□ つなぎ融資・土地先行融資を確認した
□ 建物の着工金・中間金を確認した
□ 解体・造成・上下水道工事費を確認した
□ 土地・建物・外構を含めた総額を確認した
よくある質問
Q1. 注文住宅の諸費用はいくら必要ですか?
一律の金額では決められません。
土地ありか土地なしか、仲介手数料の有無、住宅ローンの種類、地盤や造成の状態、外構計画によって大きく変わります。
住宅金融普及協会は、諸費用を建設費・購入価格の約1割程度とする目安を示していますが、注文住宅では土地購入や追加工事の有無で差が広がるため、必ず個別見積もりで確認してください。
Q2. 手付金は諸費用ですか?
手付金は通常、土地代金や建物代金の一部に充当されるお金です。
ただし、契約解除時の扱いは契約内容によって異なります。
諸費用として使い切るお金とは区別し、売買契約書や工事請負契約書で返還条件・解除条件を確認してください。
Q3. 土地ありなら仲介手数料は不要ですか?
すでに所有している土地に建てる場合、通常は土地購入に関する仲介手数料は不要です。
ただし、土地を新たに購入する場合や、土地の売却・買い替えを伴う場合は、仲介手数料が発生する可能性があります。
Q4. 地盤改良費は諸費用ですか?
地盤改良費は、税金や登記費用のような狭い意味での諸費用ではなく、建築関連の追加工事費として扱われることが多いです。
ただし、資金計画では必ず総額に含める必要があります。
Q5. 不動産取得税はいつ払いますか?
不動産取得税は、土地・建物を取得した後に納税通知書が届く税金です。
入居後に支払いが発生する可能性があるため、契約・引き渡し時の費用だけでなく、入居後の資金も残しておきましょう。
Q6. 補助金で諸費用をまかなえますか?
補助金は、対象住宅の性能、契約時期、着工時期、予算状況、事業者登録などの条件で利用可否が変わります。
補助金を前提に資金計画を組むと、制度変更や予算終了で計画が崩れる可能性があります。
補助金は「使えたら余裕が生まれるもの」と考え、補助金なしでも資金計画が成立する状態を作ってください。
まとめ|諸費用は総額ではなく支払時期まで管理する
注文住宅の諸費用は、建物本体価格の横に少し足すだけの費用ではありません。
土地あり・土地なし、住宅ローン、仲介、登記、地盤、外構、入居準備によって必要額は変わります。
特に土地なしの場合は、土地決済、着工金、中間金、登記、仲介手数料など、建物完成前にまとまった資金が必要になる可能性があります。
最後に、諸費用で失敗しないためのポイントをまとめます。
- 本体価格だけで予算を決めない
- 諸費用と付帯工事費を分けて確認する
- 土地あり・土地なしで必要費用を分ける
- 仲介手数料・登記・税金を見落とさない
- 地盤改良・造成・外構を総額に入れる
- 照明・カーテン・エアコン費を確認する
- 土地決済・着工金・中間金の時期を確認する
- つなぎ融資・分割融資の条件を確認する
- 入居後の不動産取得税・固定資産税も考える
- 補助金なしでも成立する資金計画にする
家づくりでは、建物を安く見せる見積もりよりも、入居までに必要な総額が明確な見積もりの方が価値があります。
土地・建物・外構・諸費用を一つの資金計画にまとめ、契約前に不足項目がないか確認しましょう。
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