
地域工務店へ注文住宅を依頼したいものの、「建築中に倒産したらどうなるのか」「小さな会社へ数千万円を支払って大丈夫なのか」と不安になっていませんか。
工務店の倒産リスクを、契約前に完全に見抜く方法はありません。長年営業している会社でも経営環境が急変する可能性があり、売上規模が大きい会社だから安全とも限らないためです。
だからこそ、会社の知名度や営業担当者の印象だけで判断するのではなく、建設業許可、行政処分歴、施工体制、支払条件、完成保証、住宅瑕疵担保責任保険などを組み合わせて確認する必要があります。
特に危険なのは、工事の進み具合より先に多額の代金を支払うことです。施工会社が倒産した時点で支払済み金額が出来高を上回っていると、返金を受けられず、別の施工会社へ追加費用を支払う可能性があります。
この記事では、工務店の倒産リスクを調べる方法、契約前に確認する経営情報、住宅完成保証制度と瑕疵保険の違い、危険な支払条件、建築中に工務店と連絡が取れなくなった場合の対処法を解説します。
この記事のポイント
- 倒産リスクを完全に予測する方法はない
- 建設業許可は経営の安全を保証するものではない
- 工事の進捗より支払いを先行させない
- 完成保証と瑕疵保険は目的が異なる
- 完成保証は対象住宅の加入状況まで確認する
- 異変を感じたら追加支払いの前に専門家へ相談する
結論|会社確認と保証を重ねる

工務店の倒産リスクに備えるには、次の4段階で対策します。
- 契約前に会社の基本情報を調べる
- 工事の進捗に合った支払条件にする
- 住宅完成保証を利用できるか確認する
- 契約書・図面・見積書・支払記録を保存する
会社情報を調べるだけでは不十分です。
財務内容が良好に見えても、急激な受注減少、材料費の上昇、大型案件の損失、取引先の倒産などによって、資金繰りが悪化する可能性があります。
反対に、小規模な工務店だから危険とも限りません。借入を抑え、地域で安定した受注を続けている会社もあります。
見るべきなのは会社規模ではなく、次の点です。
| 確認項目 | 主な確認内容 |
|---|---|
| 会社情報 | 法人名、所在地、代表者、設立年 |
| 建設業許可 | 許可番号、業種、有効期間 |
| 行政処分 | 過去の営業停止や指示処分 |
| 施工実績 | 年間棟数、施工地域、継続年数 |
| 社内体制 | 設計・施工管理・アフター担当 |
| 支払条件 | 契約金、着工金、中間金、残金 |
| 完成保証 | 登録だけでなく対象住宅の保証 |
| 瑕疵保険 | 保険または供託による資力確保 |
国土交通省の企業情報検索システムでは、建設業者の許可番号、代表者、本店所在地、資本金、許可年月日、有効期間、許可業種などを確認できます。行政処分歴は別途、国土交通省のネガティブ情報等検索サイトで確認します。
ただし、建設業許可があることは、直近の資金繰りや将来の倒産可能性がないことを保証するものではありません。
「倒産しない会社」を探すのではなく、倒産しても損失を広げにくい契約と支払い方を選ぶことが重要です。
倒産すると何が起きる?
工務店が倒産したときの影響は、契約前、建築中、引き渡し後で異なります。
契約金を払った直後
契約後、まだ工事が始まっていない段階で倒産すると、支払った契約金や設計料が返還されない可能性があります。
すでに設計、建築確認申請、地盤調査、設備発注などが行われていれば、その実費が差し引かれる場合もあります。
さらに、別の施工会社へ依頼し直すと、次の費用が発生する可能性があります。
- 設計のやり直し
- 見積もりの再作成
- 確認申請の変更
- 地盤調査の再確認
- 建材価格の差額
- 工期遅延による家賃
- つなぎ融資の利息
- 弁護士への相談費用
契約前に高額な申込金や契約金を求められた場合は、その用途と返金条件を確認してください。
建築中
建築中に倒産すると、工事が止まり、現場が長期間放置される可能性があります。
この場合、単純に別の工務店へ依頼すれば済むとは限りません。
新しい施工会社は、既に施工された部分の品質、図面、検査記録、使用材料を確認する必要があります。また、他社が途中まで施工した建物を引き継ぐことに慎重な会社もあります。
住まいるダイヤルの相談事例では、工事途中で施工業者が破産した場合、契約を解除するか、破産管財人の管理下で工事を継続するかなど、法的な整理が必要になると案内されています。支払状況と工事の進行状況を整理し、破産管財人や専門家へ書面で伝える必要があります。
引き渡し後
引き渡し後に工務店が倒産すると、会社独自の定期点検や長期保証、無償修理を受けられなくなる可能性があります。
ただし、新築住宅では、構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分について、住宅事業者が10年間の瑕疵担保責任を負い、その履行のために保険または供託による資力確保措置を行うことが義務付けられています。保険付き住宅で施工会社が倒産して補修できない場合は、住宅取得者が保険法人へ直接保険金を請求できる仕組みがあります。
ただし、瑕疵保険が対象にするのは、主に構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分です。
住宅設備の故障、内装の傷、建具の調整、通常の経年劣化など、すべての不具合が対象になるわけではありません。
倒産リスクを確認する10項目

工務店を選ぶときは、一つの指標だけで経営状態を判断してはいけません。
複数の情報を組み合わせて、説明に矛盾がないかを確認します。
1.正式な会社名を確認する
最初に、契約相手となる正式な法人名を確認します。
住宅ブランド名、店舗名、フランチャイズ名と、契約書に記載される法人名が異なる場合があります。
確認する項目は次のとおりです。
- 正式な法人名
- 本店所在地
- 代表者名
- 法人番号
- 設立年月
- 資本金
- 契約書上の請負人
- 実際に施工管理する会社
- 保証を提供する会社
フランチャイズに加盟している場合、本部が建築請負契約の責任を負うとは限りません。
契約相手が加盟店であれば、加盟店が倒産した場合に本部が工事や保証を引き継ぐのか、書面で確認してください。
2.建設業許可を調べる
一般的な注文住宅を請け負う工務店については、建設業許可の内容を確認します。
国土交通省の企業情報検索システムでは、会社名や許可番号から、許可業種、有効期間、所在地、代表者などを調べられます。
確認する項目は次のとおりです。
- 許可番号
- 国土交通大臣許可か都道府県知事許可か
- 建築工事業の許可があるか
- 許可の有効期間
- 契約書の会社名と一致するか
- 本店所在地が一致するか
ただし、一定の軽微な建設工事については、建設業許可を受けずに請け負える例外があります。国土交通省は、建築一式工事では請負代金1,500万円未満、または延べ面積150平方メートル未満の木造住宅工事などを軽微な建設工事として示しています。
許可がないだけで直ちに違法とは限りませんが、数千万円規模の注文住宅を依頼する場合は、許可の必要性と契約内容を確認すべきです。
また、許可があることは経営の安全を保証しません。許可は最低限の確認項目として扱います。
3.行政処分歴を確認する
国土交通省の企業情報検索システムでは、建設業者の基本情報を確認できますが、行政処分歴は別のネガティブ情報等検索サイトで確認します。
過去に処分があった場合は、処分の有無だけで判断せず、次の点を確認してください。
- 何が原因だったか
- いつの処分か
- 営業停止か指示処分か
- 改善措置を行ったか
- 同じ問題を繰り返していないか
- 現在の経営陣と処分時の経営陣が同じか
古い軽微な処分が一件ある会社と、重大な違反を繰り返している会社を同じように評価するべきではありません。
一方で、処分歴がないことも経営の安定を保証するものではありません。
4.営業年数と施工棟数を見る
長期間営業していることは、一つの判断材料になります。
ただし、営業年数だけでは不十分です。
次の項目を確認します。
- 創業年
- 法人設立年
- 現在の代表者になった時期
- 年間の新築棟数
- リフォームとの売上構成
- 主な施工地域
- 過去数年の棟数の変化
- 自社施工か協力業者施工か
営業担当者から「創業50年」と説明されても、現在の法人が設立されたのは数年前というケースも考えられます。
事業承継、法人変更、社名変更があった場合は、その経緯を確認してください。
また、施工棟数が急増している会社では、資金繰りだけでなく、現場監督や協力業者が不足し、施工管理が追い付いていない可能性もあります。
年間棟数の多さを、そのまま安全性と結び付けないようにしましょう。
5.社内の施工体制を確認する
工務店が倒産しなくても、担当者の退職や協力業者の不足によって工事が遅れる可能性があります。
確認する内容は次のとおりです。
- 設計担当者の人数
- 現場監督の人数
- 監督一人当たりの担当棟数
- 大工は社員か協力業者か
- 電気・水道・外壁などの協力会社
- 工事中の検査体制
- 担当者が退職した場合の引き継ぎ
- アフターサービス部門の有無
特定の社長や担当者一人だけで契約、設計、施工管理、アフター対応を行っている場合、その人が病気や事故で働けなくなったときに事業が止まる可能性があります。
小規模であること自体が問題なのではなく、代替できる体制があるかが重要です。
6.決算内容について質問する
非上場の工務店では、一般消費者が詳細な決算書を自由に確認できるとは限りません。
それでも、契約前に次の情報を質問することはできます。
- 直近の売上傾向
- 年間受注棟数
- 現在の着工棟数
- 完成保証制度への登録状況
- 主要な借入先
- 取引金融機関
- 過去の社名変更や事業譲渡
- 経営事項審査を受けているか
- 決算公告を行っているか
公共工事を直接請け負う建設業者は、一定の場合に経営事項審査を受ける必要がありますが、一般の住宅工務店すべてが対象になる制度ではありません。
決算書を見せないことだけで危険とは断定できません。
重要なのは、経営に関する質問に対し、担当者が曖昧な説明で逃げず、会社として回答できるかです。
7.支払条件を確認する
倒産時の損失を抑えるうえで、最も重要なのが支払いのタイミングです。
代表的な支払いは次のとおりです。
- 申込金
- 契約金
- 着工金
- 上棟金
- 中間金
- 完成金
- 引渡金
問題は支払回数ではなく、工事の進み具合と支払済み金額が合っているかです。
例えば、基礎工事が始まったばかりなのに工事代金の大部分を支払う契約では、その後に施工会社が倒産した場合、出来高を超えた前払い分を回収できない可能性があります。
住まいるダイヤルには、住宅会社が破産した時点で工事代金をほぼ全額支払っており、未完成工事と過払いが問題になった相談事例があります。資金繰りが悪化した会社から過払い分を回収することは困難になる可能性があります。
契約前に次の点を確認してください。
- 契約時に何%支払うか
- 着工時に何%支払うか
- 上棟時に何%支払うか
- 完成前に合計何%支払うか
- 各支払いの条件
- 工事が遅れている場合も支払いが必要か
- 出来高を誰が確認するか
- 支払先口座は契約会社名義か
前払いを完全になくすことは難しくても、工事の進捗より代金が大幅に先行しない条件へ調整することは重要です。
8.住宅完成保証を確認する
住宅完成保証制度は、施工会社の倒産などによって工事を続けられなくなった場合に、前払い金の損失や、別の施工会社が工事を引き継ぐことで増える工事費用の一部を保証する制度です。
住宅保証機構の制度では、経営状態などの審査を通過した登録事業者が対象となり、倒産等による工事中断時に増嵩工事費用や前払い金の損失を一定範囲で保証し、希望により代替施工業者をあっせんします。
JIOにも、登録事業者が倒産等によって工事を継続できない場合、他の事業者へ引き継いで完成を支援する制度があります。
ただし、次の点に注意してください。
- 完成保証は法律上すべての工務店に義務付けられた制度ではない
- 工務店が保証機関へ登録しているだけでは不十分
- 建築する住宅ごとに保証手続きが必要になる場合がある
- 保証上限がある
- 前払い金の全額が戻るとは限らない
- 工期遅延による家賃などが対象外になる場合がある
- 外構や別途工事が保証対象外になる場合がある
- 保証事故と認められる条件が定められている
住まいるダイヤルには、施工会社から「完成保証に加入している」と説明されていたものの、対象住宅では実際に利用されていなかった相談事例があります。契約前に口頭説明だけで判断せず、対象住宅の申込状況と保証書類を確認してください。
確認する質問は次のとおりです。
- どの完成保証制度を使いますか
- 工務店は登録事業者ですか
- 私の住宅は保証対象ですか
- いつ保証申請を行いますか
- 保証料は誰が負担しますか
- 保証上限はいくらですか
- 前払金はいくらまで対象ですか
- 増嵩工事費はいくらまで対象ですか
- 対象外となる工事は何ですか
- 保証書はいつ受け取れますか
9.瑕疵保険と完成保証を混同しない
住宅完成保証と住宅瑕疵担保責任保険は、目的が異なります。
| 制度 | 主な役割 |
| 住宅完成保証 | 建築中の倒産による未完成リスクへ備える |
| 住宅瑕疵担保責任保険 | 引き渡し後の構造・雨漏り等の瑕疵へ備える |
| 工務店の自社保証 | 会社独自の点検・補修・保証 |
| 地盤保証 | 地盤に起因する不同沈下などへ備える |
住宅瑕疵担保責任保険は、引き渡し後に対象となる瑕疵が見つかり、施工会社が倒産して補修できない場合に、住宅取得者が保険法人へ直接請求できる制度です。建築途中の住宅を完成させるために使う制度ではありません。
「瑕疵保険に入るから、建築途中で倒産しても大丈夫」という説明は正確ではありません。
契約前に、次の3つを別々に確認してください。
- 工事完成前の倒産に備える保証
- 引き渡し後の構造・雨漏りに備える保険
- 設備や内装を対象にする会社独自の保証
10.契約書と記録をそろえる
工務店が倒産した場合、次の書類が重要になります。
- 工事請負契約書
- 工事請負契約約款
- 設計図書
- 仕様書
- 見積書
- 工程表
- 支払予定表
- 振込明細
- 領収書
- 変更契約書
- 打ち合わせ記録
- 現場写真
- 検査記録
- 完成保証の書類
- 瑕疵保険の書類
書類を住宅会社のオンラインシステムだけで管理している場合は、定期的に自分のパソコンやクラウドへ保存してください。
会社のシステムが停止すると、図面や打ち合わせ記録へアクセスできなくなる可能性があるためです。
【関連記事:注文住宅の建築請負契約で確認すること|契約書・見積書・約款の注意点】
注意したい危険な兆候
次の兆候が一つあるだけで、直ちに倒産すると断定することはできません。
ただし、複数が重なった場合は、追加支払いや契約を進める前に確認が必要です。
高額な前払いを求められる
次のような説明で、予定より早い支払いを求められた場合は注意してください。
- 材料を先に購入する必要がある
- 今月中に入金すれば値引きできる
- 職人を確保するために必要
- 決算上、先に入金してほしい
- 上棟前だが中間金を支払ってほしい
- 融資が出た分を先に全額払ってほしい
材料の発注など、合理的な理由がある場合もあります。
しかし、契約上の支払時期を変更するなら、工事の進捗、変更理由、倒産時の扱いを書面で確認してください。
大幅な値引きで契約を急かす
極端な値引きと短い契約期限がセットになっている場合は慎重に判断します。
会社が受注を確保したい理由はさまざまですが、利益を確保できない金額で受注を続ければ、施工品質や資金繰りへ影響する可能性があります。
値引き額ではなく、値引き後でも必要な工事と性能を実現できる見積もりになっているか確認してください。
工事が理由なく止まる
天候、検査、資材納期などにより、一時的に工事が止まることはあります。
注意すべきなのは、次のような状態です。
- 工事停止の理由を説明しない
- 現場監督と連絡が取れない
- 職人が突然来なくなる
- 材料が搬入されない
- 工程表を何度も変更する
- 協力会社が工事を拒否する
- 支払いだけを求められる
理由と再開予定日を書面で確認してください。
振込先を突然変更する
振込先口座が突然変更された場合は、メールだけで判断せず、会社の正式な窓口へ確認します。
特に、次の振込先には注意してください。
- 担当者個人名義
- 代表者個人名義
- 契約会社と異なる法人名義
- 説明のない新規口座
- 海外口座
正当な口座変更の場合もありますが、契約会社との関係と変更理由を確認し、書面を受け取ってください。
担当者の退職が続く
担当者の退職はどの会社でも起こります。
ただし、営業、設計、現場監督、経理などの退職が短期間に重なり、引き継ぎが行われていない場合は、会社の運営体制を確認する必要があります。
退職の理由を詮索するのではなく、今後の担当者、工事管理、契約内容の引き継ぎを確認してください。
支払条件の考え方
支払いは、工事の進捗に合わせることが基本です。
ただし、「契約時10%なら安全」「上棟時50%なら危険」など、一律には判断できません。
建物の工法、材料の発注時期、つなぎ融資の条件などによって適切な支払方法は変わります。
確認する5項目

各支払いの前に、次の点を確認します。
- 契約上の支払時期を迎えているか
- 工事が予定どおり進んでいるか
- 支払済み金額が出来高を大幅に上回っていないか
- 検査や確認が完了しているか
- 次の工程と支払条件が明確か
住宅会社から予定外の前払いを求められた場合は、その場で支払わず、金融機関、完成保証会社、建築士、弁護士などへ相談してください。
つなぎ融資でも確認する
つなぎ融資を使う場合、金融機関から工務店へ直接代金が支払われることがあります。
金融機関が支払うから安全とは限りません。
支払時期、工事進捗の確認方法、完成保証の有無を確認してください。
【関連記事:注文住宅の見積書の見方|本体工事・付帯工事・別途工事の違い】
契約前の質問リスト
工務店との契約前に、次の質問をしてください。
会社について
- 正式な法人名を教えてください
- 建設業許可番号を教えてください
- 年間の新築棟数は何棟ですか
- 現在の着工棟数は何棟ですか
- 現場監督は何人いますか
- 一人の監督が何棟を担当しますか
- 主な大工や協力会社は固定されていますか
- 担当者が退職した場合の引き継ぎ方法は何ですか
支払いについて
- 契約金はいくらですか
- 着工前に合計いくら支払いますか
- 上棟時までに何%支払いますか
- 完成前に合計何%支払いますか
- 工事が遅れている場合も支払いが必要ですか
- 出来高は誰が確認しますか
- 支払条件を変更できますか
保証について
- 住宅完成保証を利用できますか
- 保証機関名を教えてください
- 私の住宅も保証対象になりますか
- 保証申請はいつ行いますか
- 保証上限はいくらですか
- 保証対象外の費用は何ですか
- 保証書はいつ受け取れますか
- 瑕疵保険と完成保証の違いを説明してください
- 倒産時の引き継ぎ会社はどのように決まりますか
これらの質問へ回答できない、または契約後でなければ説明しない工務店とは、契約を急ぐべきではありません。
倒産が疑われるときの対処
工事中に工務店と連絡が取れなくなった場合は、現場へ勝手に手を加えたり、別の会社へすぐに工事を依頼したりしないでください。
契約関係、現場の所有物、建材、破産手続きなどが関係する可能性があります。
1.資料を保存する
次の資料を保存します。
- 契約書
- 約款
- 図面
- 見積書
- 工程表
- 支払記録
- メール
- メッセージ
- 現場写真
- 完成保証書類
- 瑕疵保険書類
現場は日付が分かる形で写真を撮り、工事の進行状況を記録します。
2.会社の正式窓口へ連絡する
営業担当者だけでなく、次の窓口へ連絡します。
- 本店
- 代表電話
- 代表者
- 経理担当
- 現場監督
- 完成保証会社
- 瑕疵保険法人
- 住宅ローンの金融機関
電話だけでなく、メールや書面でも記録を残します。
3.追加支払い前に相談する
支払期日が来ていても、工事停止や倒産の可能性がある状態で、そのまま支払うのは危険です。
ただし、自己判断で契約上の支払いを一方的に止めると、別の契約問題になる可能性もあります。
支払う前に、完成保証会社、金融機関、住まいるダイヤル、弁護士へ相談してください。
4.契約を勝手に解除しない
破産手続きが始まった場合、契約を継続するか解除するかについて、破産管財人の判断が関係することがあります。別会社と先に契約すると、契約関係が複雑になる可能性があります。
解除通知や新しい施工会社との契約は、専門家へ相談してから行ってください。
5.現場の安全を確保する
工事が止まった状態では、雨水の侵入、資材の飛散、第三者の侵入などが起こる可能性があります。
現場へ無断で立ち入って作業するのではなく、破産管財人、保証会社、建築士などと相談し、養生や安全対策を行います。
工務店を避けるべき?
倒産リスクを理由に、地域工務店をすべて避ける必要はありません。
大手ハウスメーカーにも経営上のリスクはあり、会社規模だけで将来の安全を保証することはできません。
工務店には、次のような利点があります。
- 地域の土地や気候に詳しい
- 設計の自由度が高い場合がある
- 担当者と距離が近い
- 地元の職人との関係がある
- 柔軟な対応を期待できる
- 広告費や展示場費を抑えている場合がある
一方で、会社規模が小さいほど、代表者や特定の職人への依存度が高く、引き継ぎ体制が弱いケースもあります。
重要なのは、大手か工務店かではありません。
経営情報、支払い、完成保証、施工体制、契約内容を比較し、リスクを理解したうえで選ぶことです。
【関連記事:ハウスメーカーと工務店の違いを徹底比較|向いている人・選び方】
よくある質問 Q&A
Q:工務店が小さいと倒産しやすいですか?
A:会社規模だけでは判断できません。
小規模でも固定費や借入を抑えて安定経営している工務店があります。一方、受注規模が大きくても、利益不足や過度な借入により資金繰りが悪化する会社もあります。
規模ではなく、支払条件、施工体制、完成保証、契約内容を確認してください。
Q:建設業許可があれば安心ですか?
A:建設業許可は重要な確認項目ですが、倒産しないことを保証する制度ではありません。
許可番号、有効期間、許可業種を確認したうえで、行政処分歴、施工実績、支払条件、保証制度も確認してください。
Q:口コミが良ければ大丈夫ですか?
A:口コミだけでは経営状態を判断できません。
口コミは、担当者との相性、施工時期、個別の要望などに左右されます。
施工現場、見積書、契約書、支払条件、保証制度など、客観的な情報と組み合わせて判断してください。
Q:完成保証に入っていれば全額戻りますか?
A:全額が保証されるとは限りません。
保証制度によって、前払い金、増嵩工事費、保証割合、上限額、対象外費用が異なります。住宅保証機構も、保証対象と金額は保証タイプや保証割合によって異なり、保証書の内容に従うと案内しています。
契約前に保証約款と保証書の内容を確認してください。
Q:瑕疵保険があれば工事は完成しますか?
A:瑕疵保険は、建築途中の住宅を完成させる制度ではありません。
主に引き渡し後の構造耐力上主要な部分や雨水の浸入を防止する部分の瑕疵に備える制度です。工事中の倒産に備えるには、住宅完成保証などを別に確認する必要があります。
Q:決算書を見せてもらうべきですか?
A:依頼することはできますが、非上場の工務店が一般の見込み客へ詳細な決算書を開示するとは限りません。
開示しないことだけで危険とは断定できません。
年間棟数、施工中の物件数、完成保証、支払条件、取引金融機関などを確認し、総合的に判断してください。
Q:契約金はいくらなら安全ですか?
A:一律に安全な割合は決められません。
重要なのは、支払済み金額が、設計、申請、材料発注、現場の出来高を大きく上回らないことです。
契約金の用途、返金条件、完成保証の対象範囲も確認してください。
Q:工事中に突然連絡が取れなくなったら?
A:追加の支払いや契約解除を自己判断で進めず、契約書、支払記録、工事写真を保存してください。
完成保証会社、住宅ローンの金融機関、住まいるダイヤル、弁護士などへ早急に相談します。
まとめ|倒産後も考えて契約する
工務店の倒産リスクを、契約前に完全に見抜く方法はありません。
だからこそ、会社の印象だけで判断せず、複数の確認と保証を重ねる必要があります。
契約前に確認したいポイントは次のとおりです。
- 正式な会社名と契約相手を確認する
- 建設業許可と有効期間を調べる
- 行政処分歴を確認する
- 営業年数と施工棟数を確認する
- 現場監督や協力業者の体制を確認する
- 経営状況について具体的に質問する
- 工事の進捗に合った支払条件にする
- 高額な前払いを避ける
- 住宅完成保証を確認する
- 対象住宅の保証書を受け取る
- 瑕疵保険と完成保証を区別する
- 契約書や支払記録を保存する
最も危険なのは、「地元で有名だから大丈夫」「社長が誠実そうだから大丈夫」と、信用だけで高額な前払いをすることです。
誠実な会社でも、経営環境が変われば倒産する可能性があります。
信頼は必要ですが、信頼だけに依存する契約は安全ではありません。
工務店を選ぶときは、倒産しないかを予想するだけでなく、万が一倒産しても、前払い金と未完成工事の損失を抑えられる仕組みがあるかを確認しましょう。
※倒産時の契約解除、支払い、現場引き継ぎは、契約内容や破産手続きによって判断が異なります。実際に工事停止や連絡不能が起きた場合は、追加の支払いや契約解除を自己判断で進めず、完成保証会社、金融機関、住まいるダイヤル、弁護士などへ相談してください。
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