
注文住宅のプランや住宅会社が決まり、「次は建築請負契約です」と言われたものの、契約書のどこを確認すればよいのか分からず、不安になっていませんか。
建築請負契約は、単に住宅会社へ工事を依頼する手続きではありません。建てる住宅の内容、工事代金、支払い時期、完成予定日、追加工事の扱い、契約解除、完成後の保証などを正式に決める重要な契約です。
営業担当者から「細かい仕様は契約後に決められます」「一般的な約款なので問題ありません」と説明されても、そのまま署名してはいけません。契約時点で図面や仕様が曖昧なままだと、契約後にオプション費用が増えたり、希望していた設備が見積もりに含まれていなかったりする可能性があります。
この記事では、注文住宅の建築請負契約前に確認する書類、契約書・見積書・約款の注意点、追加費用や解約トラブルを防ぐチェックポイントを解説します。
この記事のポイント
- 建築請負契約書だけでなく添付書類も確認する
- 未確定の仕様を残したまま契約しない
- 「一式」表記は工事範囲と数量を確認する
- 追加変更は金額を確認してから承認する
- 支払時期と工事の進み具合が合っているか確認する
- 解除条件や違約金を契約前に読む
結論|未確定なら契約しない
注文住宅の建築請負契約では、少なくとも次の5項目が明確になるまで署名しないことが重要です。
- どのような住宅を建てるのか
- 総額はいくらになるのか
- 何が見積もりに含まれていないのか
- いつ着工し、いつ完成するのか
- 変更や解約時にいくら必要になるのか
建設工事の請負契約では、工事内容、請負代金、着工・完成時期、支払方法、設計変更、工期変更、価格変動、検査、引き渡し、責任、違約金、紛争解決方法などを契約書面に記載することが求められています。
ただし、契約書の表紙に工事代金と工期が書かれているだけでは、何を建てる契約なのかを十分に判断できません。
建築請負契約は、一般的に次の書類を一体として確認します。
| 書類 | 主な確認内容 |
|---|---|
| 工事請負契約書 | 工事代金、工期、支払条件 |
| 工事請負契約約款 | 変更、遅延、解除、責任 |
| 設計図書 | 間取り、寸法、配置、構造 |
| 仕様書 | 断熱材、外壁、床、設備の仕様 |
| 見積書・内訳書 | 工事項目、数量、単価、金額 |
| 工程表 | 着工から完成までの予定 |
| 仕上表 | 各部屋の床、壁、天井など |
| 設備資料 | キッチン、浴室、トイレなど |
住宅紛争処理支援センターも、工事請負契約書には約款、設計図書、内訳書などを添付してもらい、内容を確認して納得してから契約するよう案内しています。
契約書だけを見て「工事代金は予算内だから大丈夫」と判断するのは不十分です。
契約前に確認するべきなのは、契約金額ではなく、その金額で何が完成するのかです。
建築請負契約とは

建築請負契約とは、住宅会社や工務店が契約内容に従って住宅を完成させ、建築主が工事代金を支払う契約です。
建売住宅のように完成した建物を購入する売買契約とは異なり、注文住宅では、契約時に決めた設計図書や仕様に基づいて建物をつくります。
そのため、契約時点の図面や仕様書が曖昧だと、完成する住宅の内容も曖昧になります。
設計契約とは別の契約
注文住宅では、建築請負契約の前に設計契約を締結する場合があります。
設計契約では、建築士や設計事務所へ、基本設計や実施設計、図面作成などを依頼します。一方、建築請負契約は、施工会社へ実際の建築工事を依頼する契約です。
住宅紛争処理支援センターも、設計契約と工事請負契約は別の契約であり、一方を解除しても、もう一方が自動的に解除されるとは限らないと説明しています。
ハウスメーカーや工務店では、設計と施工を同じ会社が担当するため、違いが見えにくいことがあります。
契約前に次の点を確認してください。
- 今回締結するのは設計契約か工事請負契約か
- 設計料はいくら含まれているか
- 契約を解除した場合に設計料はいくら請求されるか
- 作成された図面を他社で使えるか
- 工事監理を誰が行うか
「申込金」「設計申込金」「契約金」など、会社独自の名称だけで判断してはいけません。
支払うお金の目的、返金条件、契約解除時の精算方法を書面で確認しましょう。
【関連記事:ハウスメーカーの選び方|後悔しない比較ポイントと契約前の確認事項】
契約時に受け取る書類

建築請負契約では、複数の書類が渡されます。
契約書の表紙だけに署名し、ほかの書類を後日受け取る進め方は避けるべきです。
工事請負契約書
工事請負契約書には、主に次の項目が記載されます。
- 発注者と受注者
- 工事名称
- 工事場所
- 工事内容
- 請負代金
- 消費税
- 着工予定日
- 完成予定日
- 引き渡し予定日
- 支払時期
- 支払金額
- 契約年月日
住所、氏名、土地の所在地、金額、日付などに間違いがないか確認してください。
特に注意したいのが、「着工予定」「完成予定」「別途協議」などの曖昧な記載です。
住宅ローン、建築確認、土地の引き渡しなどの事情により日程を確定できない場合は、何を条件として日程が決まるのかを確認します。
工事請負契約約款
約款には、契約書の表紙には書き切れない詳細な条件が記載されています。
主な内容は次のとおりです。
- 図面や仕様に食い違いがあった場合
- 工事内容を変更する場合
- 工期を延長する場合
- 材料価格が上昇した場合
- 工事中に損害が発生した場合
- 検査と引き渡し
- 代金の支払いが遅れた場合
- 施工会社が工事を遅延した場合
- 契約を解除する場合
- 完成後に不具合が見つかった場合
- 紛争が発生した場合
国土交通省は、契約条件が不明確なことや、当事者の一方だけに有利な条件が設定されることが紛争の原因になり得るため、民間工事向けの標準請負契約約款を作成しています。
ただし、住宅会社が使用する約款が、国土交通省の標準約款と同じ内容とは限りません。
「一般的な約款です」と説明されても、必ず自分で確認してください。
設計図書
設計図書は、建築する住宅の内容を図面で示したものです。
契約時に確認したい主な図面は次のとおりです。
- 配置図
- 各階平面図
- 立面図
- 断面図
- 面積表
- 仕上表
- 矩計図
- 基礎伏図
- 床伏図
- 小屋伏図
- 電気設備図
- 給排水設備図
すべての詳細図が契約時に完成していない住宅会社もあります。
その場合は、契約時に完成している図面と、契約後に作成される図面を区別してください。
重要なのは、未完成の図面があること自体ではなく、未確定部分が追加費用につながる可能性を把握しているかです。
仕様書
仕様書には、図面だけでは分からない材料や設備の品質が記載されます。
確認する項目は次のとおりです。
- 基礎の種類
- 構造材
- 耐震性能
- 断熱材
- 断熱等級
- 窓とサッシ
- 外壁材
- 屋根材
- 床材
- 建具
- キッチン
- 浴室
- 洗面台
- トイレ
- 給湯設備
- 換気設備
- コンセント
- 照明
- 空調
「同等品」「当社指定品」「標準仕様」とだけ書かれている場合は、メーカー、商品名、型番、性能、サイズ、色などをどこまで選べるか確認します。
標準仕様の範囲が曖昧なまま契約すると、契約後の打ち合わせで希望商品を選んだ際に、差額が発生しやすくなります。
見積書と内訳書
見積書には、住宅を建てるための工事項目と金額が記載されます。
国土交通省の民間建設工事標準請負契約約款では、契約後、受注者が請負代金内訳書と工程表を提出する仕組みが示されています。
ただし、施主側としては契約後ではなく、契約前に可能な限り詳しい内訳を確認した方が安全です。
見積書の総額だけを比較しても、工事範囲が異なれば適切な比較はできません。
契約書で確認する12項目

ここからは、建築請負契約書と約款で特に確認したい項目を解説します。
1.契約相手と施工会社
契約書に記載された会社名と、営業担当者が説明している会社が同じか確認します。
ブランド名、グループ会社名、フランチャイズ名、実際に施工する法人名が異なることがあります。
確認する項目は次のとおりです。
- 正式な法人名
- 本店所在地
- 代表者名
- 建設業許可
- 建築士事務所登録
- 契約上の請負人
- 実際の施工管理者
- 保証を提供する会社
契約相手と保証会社が異なる場合は、どの会社がどこまで責任を負うのか確認してください。
2.工事場所と工事内容
土地の住所、地番、敷地範囲に間違いがないか確認します。
また、「木造2階建て住宅新築工事一式」といった簡単な表記だけでなく、添付する設計図書と仕様書が契約内容に含まれているか確認してください。
契約書には、添付書類の名称と作成日、図面番号を記載してもらうと、契約後に図面が差し替わるトラブルを防ぎやすくなります。
契約書に添付する図面には、双方で署名や割印を行う方法もあります。
3.請負代金と消費税
契約金額について、次の点を確認します。
- 税込みか税抜きか
- 建物本体工事費
- 付帯工事費
- 設計料
- 建築確認申請費
- 地盤調査費
- 屋外給排水工事
- 電気・ガス引き込み
- 外構工事
- 照明・カーテン
- 空調設備
- 諸経費
- 値引き
契約書の請負代金と見積書の合計金額が一致しているかも確認してください。
値引きがある場合は、何から値引きされているのかを明確にします。
値引き後に仕様変更をすると、値引きが取り消されたり、変更部分だけ通常価格で計算されたりする場合があります。
4.代金の支払時期
注文住宅では、契約時、着工時、上棟時、完成時などに分けて工事代金を支払うことがあります。
確認すべきなのは、支払回数だけではありません。
- それぞれの支払額
- 支払期限
- 支払いの条件
- 工事の進捗状況
- 住宅ローンの融資時期
- つなぎ融資の必要性
- 引き渡し前に支払う金額
工事の初期段階で代金の大部分を支払う契約は、施工会社が倒産した場合のリスクが大きくなります。
契約金、着工金、中間金、最終金が、工事の進み具合に対して極端に前倒しされていないか確認してください。
住宅ローンの融資実行が建物完成時になる場合は、着工金や中間金を自己資金またはつなぎ融資で支払うことがあります。
つなぎ融資の利息や手数料も、家づくりの予算に含める必要があります。
【関連記事:注文住宅の諸費用はいくら?土地あり・土地なし別の内訳と注意点】
5.着工日・完成日・引渡日
契約書では、次の3つを分けて確認します。
- 工事着手日
- 工事完成日
- 建物引渡日
完成日と引渡日は同じとは限りません。
建物が完成したあとに、完了検査、施主検査、補修、登記、住宅ローンの手続きなどが行われます。
引渡日が遅れると、次の費用が増える可能性があります。
- 賃貸住宅の家賃
- 仮住まい費用
- 引っ越し日の変更費
- つなぎ融資の利息
- 家具や家電の保管費
- 土地ローンの利息
契約書では、施工会社の責任によって引き渡しが遅れた場合の損害金や対応方法を確認します。
一方、天候、災害、資材不足、行政手続きなどによる遅延を、すべて施工会社の責任にできるとは限りません。
どのような場合に工期を延長できるのか、約款で確認してください。
6.図面と仕様の確定状況
契約前に、どこまで仕様が決まっているか一覧にします。
特に未確定になりやすい項目は次のとおりです。
- キッチンのグレード
- 浴室のサイズ
- 洗面台
- トイレ
- 床材
- 室内ドア
- 外壁
- 屋根
- 窓
- コンセント
- 照明
- 収納内部
- 造作家具
- 外構
契約時点で「標準仕様」とされていても、希望する色やサイズが標準範囲外の場合があります。
未確定項目については、次のどちらかを明確にしてください。
- 契約金額の範囲内で選択できる
- 選ぶ商品によって追加費用が発生する
「あとで自由に選べます」という説明は、無料で選べるという意味ではありません。
選択肢と価格を確認してから契約しましょう。
7.別途工事と見積除外項目
契約後の予算オーバーを防ぐには、見積もりに入っている項目より、入っていない項目を確認する方が重要です。
代表的な別途工事は次のとおりです。
- 地盤改良
- 古家解体
- 造成
- 擁壁
- 残土処分
- 上下水道引き込み
- ガス引き込み
- 電柱移設
- 外構
- エアコン
- 照明
- カーテン
- 家具
- 登記
- 住宅ローン費用
- 引っ越し
- 仮住まい
「別途」「施主支給」「概算」「実費精算」「現場確認後」と記載された項目を抜き出してください。
金額が未確定なら、想定される最低額ではなく、余裕を持った予算枠を確保します。
8.追加工事と設計変更
注文住宅では、契約後に間取りや設備を変更することがあります。
問題になるのは、変更したことではなく、金額を確認しないまま工事を進めることです。
追加変更では、必ず次の手順を守ります。
- 変更内容を図面や書面で確認する
- 追加費用または減額費用を確認する
- 工期への影響を確認する
- 双方が書面で承認する
- 承認後に工事を進める
住宅紛争処理支援センターも、追加変更は見積書を提出して確認を取り、打ち合わせ内容を書面に残すことが重要だとしています。
口頭で「それでお願いします」と伝えるだけでは、完成後に請求金額を巡って争いになる可能性があります。
変更契約書、追加工事注文書、打ち合わせ記録などを作成してもらいましょう。
建設工事の契約内容を変更する場合も、変更内容を書面化して相互に交付することが求められています。電子契約を使用する場合にも、所定の要件を満たす必要があります。
9.資材価格の上昇
契約から着工までの期間が長い場合、木材、鋼材、住宅設備、輸送費などが値上がりすることがあります。
約款に次のような条項がないか確認してください。
- 資材価格が上昇した場合は請負代金を変更できる
- 著しい物価変動があった場合は協議する
- メーカー価格改定分を施主が負担する
- 商品が廃番の場合は同等品へ変更する
問題は、価格変更条項があること自体ではありません。
次の点が不明確な条項に注意が必要です。
- どの程度の上昇で変更するのか
- 変更額をどう計算するのか
- 値上げを証明する資料が提示されるか
- 施主が変更を承諾しない場合はどうなるか
- 価格が下がった場合も減額されるか
一方的に住宅会社だけが価格を変更できる内容になっていないか確認しましょう。
10.検査と引き渡し
建物完成後は、施工会社の検査、行政や指定確認検査機関による検査、施主検査などが行われます。
契約書では次の点を確認します。
- 完成検査の時期
- 施主検査の方法
- 不具合の修補期限
- 再検査の方法
- 引き渡し条件
- 鍵の受け渡し
- 残代金の支払時期
- 検査済証の交付
- 保証書や取扱説明書の交付
住宅紛争処理支援センターは、引渡時に契約書、見積書、仕様書、詳細図などを照合し、注文した内容どおりに完成しているか確認することや、検査済証を受け取ることを案内しています。
不具合が残っている場合は、補修内容と完了予定日を書面にします。
「引き渡し後に直します」という口約束だけで、残代金を全額支払うかどうかは慎重に判断してください。
11.契約不適合と保証
完成後に雨漏り、構造上の不具合、設備故障などが見つかった場合の責任を確認します。
新築住宅を供給する一定の建設業者には、保証金の供託または住宅瑕疵担保責任保険への加入による資力確保措置が義務付けられています。
契約前に次の事項を確認してください。
- 瑕疵保険へ加入するか
- 保証金を供託しているか
- 保険法人名
- 保険対象部分
- 保険金額
- 保険期間
- 地盤保証
- 防水保証
- シロアリ保証
- 住宅設備保証
- 定期点検
- 施工会社が倒産した場合の対応
「最長30年保証」などの表示だけで判断してはいけません。
保証を継続するために、有料点検や指定工事が必要な場合があります。
保証期間とあわせて、保証条件、免責事項、必要なメンテナンス費用を確認しましょう。
12.契約解除と違約金
建築請負契約後に、予算不足、住宅会社への不信感、土地の問題、住宅ローン不承認などが発生し、解約を検討することがあります。
契約前に次の内容を確認してください。
- 施主から解除できる条件
- 住宅会社から解除できる条件
- 違約金
- 実費精算
- 設計料
- 申請費
- 発注済み資材
- 解約時の返金額
- 図面の引き渡し
- 土地売買契約との関係
契約書に「請負代金の〇%」という違約金が記載されている場合は、いつ解除しても同じ割合なのか確認します。
着工前でも、設計、申請、地盤調査、資材発注などが進んでいれば費用が発生する可能性があります。
一方で、住宅会社から請求された金額が、常にそのまま妥当とは限りません。住宅紛争処理支援センターの相談事例でも、契約条項や実際に行われた業務を確認し、解除費用を検討する必要があることが示されています。
契約解除を検討するときは、自己判断で支払いを止めず、契約書、約款、見積書、図面、打ち合わせ記録をそろえて専門窓口へ相談してください。
見積書で確認するポイント
見積書は、総額だけではなく、工事範囲、数量、単価、除外項目を確認します。
本体工事費だけで判断しない
注文住宅の見積書では、建物本体工事費以外に、付帯工事費や諸費用が必要です。
| 費用区分 | 主な内容 |
| 本体工事 | 基礎、構造、屋根、外壁、内装 |
| 付帯工事 | 給排水、電気、ガス、仮設工事 |
| 別途工事 | 外構、地盤改良、解体、造成 |
| 諸費用 | 設計、申請、登記、ローン |
| 施主購入 | 家具、家電、カーテン、引っ越し |
住宅会社によって、どの費用を本体工事に含めるかが異なります。
坪単価が安く見えても、付帯工事や設備費用を加えると総額が高くなることがあります。
「一式」の範囲を確認する
見積書に「電気工事一式」「給排水工事一式」「大工工事一式」などと記載されることがあります。
一式表記がすべて不適切とは限りませんが、工事範囲が分からない状態は避けるべきです。
住宅紛争処理支援センターも、見積明細が出せない場合には、図面や仕様書に工事内容と工事範囲を明示してもらい、説明を受けるよう助言しています。
一式表記については、次の点を質問してください。
- 何が含まれているか
- 数量はいくつか
- 何が含まれていないか
- 変更した場合の単価
- 追加費用が発生する条件
例えば「照明工事一式」に、照明器具まで含まれるのか、配線と取付工事だけなのかで費用は変わります。
数量と単価を確認する
次の項目は、可能な範囲で数量と単価を確認します。
- 床面積
- 外壁面積
- 屋根面積
- 窓の数
- 室内ドアの数
- コンセント数
- 照明数
- 収納棚
- 造作家具
- 給排水箇所
- エアコン配管
契約後に数量を増やす場合、追加単価が契約前の見積単価と同じとは限りません。
コンセント、照明、収納など、増えやすい項目は追加単価も確認しておきましょう。
概算金額に注意する
「概算」「予算取り」「実費」「別途見積」と記載された金額は、確定額ではありません。
例えば、外構費を100万円で予算取りしていても、駐車場、フェンス、門柱、庭、排水工事を含めると不足する可能性があります。
概算項目は一覧化し、金額が増えた場合でも家づくり全体の予算を維持できるか確認してください。
【関連記事:家づくりの予算はどう決める?失敗しない考え方】
約款で注意する条項
約款は文章が長く、難しい表現も多いため、読み飛ばされやすい書類です。
しかし、トラブルが起きたときは、営業担当者の口頭説明ではなく、約款の内容を基準に判断される可能性があります。
施工会社だけが変更できる条項
次のような内容は、変更条件と手続きを確認します。
- 施工会社の判断で材料を変更できる
- 同等品へ変更できる
- 価格上昇分を請負代金へ加算できる
- 工期を延長できる
- 下請業者を自由に変更できる
一定の変更権限が必要な場合でも、施主への説明や承諾が不要になっていないか確認してください。
特に「同等品」の性能や価格の判断者が施工会社だけになっている場合は注意が必要です。
遅延の責任が曖昧な条項
天候や災害など、施工会社の責任ではない事情によって工期が延びることはあります。
しかし、あらゆる事情を「やむを得ない理由」として工期延長できる条項では、施主側が不利になる可能性があります。
次の点を確認します。
- 工期延長を通知する期限
- 延長理由の説明
- 新しい完成予定日
- 追加費用の負担
- 施主の損害への対応
- 長期間遅延した場合の解除
解約金の計算が不明な条項
「相当額」「実費」「当社規定」「請負代金の一定割合」など、解約金の計算方法が分からない条項は、契約前に具体例を出して説明してもらいます。
例えば、契約から1週間後、建築確認申請後、着工後の3段階で解除した場合、いくら必要になるのか質問してください。
回答はメールや書面で残します。
紛争解決方法
約款には、協議、調停、仲裁、訴訟などの紛争解決方法が記載されています。
確認する項目は次のとおりです。
- 相談窓口
- 指定されている紛争処理機関
- 仲裁合意の有無
- 管轄裁判所
- 弁護士費用
- 調査費用
内容が理解できない場合は、契約前に専門家へ相談してください。
契約前日のチェックリスト
建築請負契約の前日までに、次の項目を確認します。
契約内容
- 契約書を事前に受け取った
- 約款を事前に読んだ
- 工事場所に間違いがない
- 工事代金と見積総額が一致している
- 着工日と引渡日を確認した
- 支払時期と金額を確認した
- 遅延時の対応を確認した
- 解約条件を確認した
図面と仕様
- 配置図を確認した
- 各階平面図を確認した
- 立面図を確認した
- 建物面積を確認した
- 窓の位置とサイズを確認した
- 住宅性能を確認した
- 設備のメーカーと型番を確認した
- 未確定項目を一覧化した
見積書
- 本体工事費を確認した
- 付帯工事費を確認した
- 別途工事を確認した
- 概算項目を確認した
- 一式表記の範囲を確認した
- 地盤改良費を想定した
- 外構費を想定した
- 照明・カーテン・空調を確認した
- 追加工事の単価を確認した
保証と完成後
- 瑕疵保険または供託を確認した
- 地盤保証を確認した
- 設備保証を確認した
- 定期点検を確認した
- 保証延長の条件を確認した
- 施主検査の方法を確認した
- 検査済証を受け取れることを確認した
- 引渡書類を確認した
一つでも重大な未確認項目があれば、契約日を延期してください。
契約を急ぐことによるメリットより、曖昧な契約を締結するリスクの方が大きいからです。
契約を急がされたときの対処法
住宅会社から、次のように契約を急かされることがあります。
- 今日なら値引きできる
- 今月中ならキャンペーンを適用できる
- 資材価格が上がる
- 大工の予定が埋まる
- 土地を確保できなくなる
- 補助金に間に合わなくなる
期限に合理的な理由がある場合もあります。
しかし、書類を確認する時間を与えないまま、高額な契約を求める進め方は受け入れる必要がありません。
次のように対応してください。
「契約書、約款、図面、仕様書、見積内訳を家族で確認してから契約します。今日中の契約はできません」
値引きや特典がなくなることより、数百万円の追加費用や不利な解除条件を見落とす方が損失は大きくなります。
契約を延期しただけで関係が悪化する住宅会社なら、契約後に施主の要望を丁寧に扱う会社かどうかも疑うべきです。
契約後に変更したい場合
契約後に間取りや仕様を変更したい場合は、営業担当者へ口頭で伝えるだけでは不十分です。
次の内容を書面で確認します。
- 変更前の内容
- 変更後の内容
- 追加金額
- 減額金額
- 設計料
- 申請変更費
- 工期への影響
- 発注済み商品のキャンセル料
- 住宅性能への影響
変更後は、図面、仕様書、見積書、契約金額のすべてが一致しているか確認してください。
見積書だけ変更され、図面が古いまま残っていると、現場でどちらを採用するか分からなくなります。
変更履歴を一覧にして、最新版の図面へ日付と版番号を付けてもらうと管理しやすくなります。
よくある質問
契約日に初めて約款を渡されました。契約しても大丈夫ですか?
その場で内容を十分に理解できないなら、契約を延期してください。
約款には、追加変更、工期延長、損害負担、契約解除、違約金など重要な条件が記載されています。
「一般的な内容です」という説明だけで署名するべきではありません。
間取りが未完成でも契約できますか?
契約自体は行われる場合がありますが、未確定部分が多いほど追加費用や認識違いのリスクが高まります。
少なくとも、建物の配置、延床面積、主要な間取り、住宅性能、設備のグレード、概算総額は確認してください。
未確定項目と想定追加費用を一覧にする必要があります。
見積書が一式ばかりでも問題ありませんか?
一式表記だけで直ちに問題とはいえませんが、工事内容と範囲が分からない状態は危険です。
内訳を出せない場合でも、図面や仕様書に含まれる工事範囲を明示してもらいましょう。
追加変更時の金額を確認できるよう、数量や単価も可能な範囲で確認してください。
契約金は返金されますか?
契約金の返金条件は、契約書や約款、解除時点までに行われた設計・申請・発注業務などによって変わります。
「契約金は全額返金」「一切返金しない」と口頭で説明された場合も、書面の内容を確認してください。
解除を考えている場合は、早い段階で専門窓口へ相談しましょう。
電子契約でも有効ですか?
所定の要件を満たせば、建設工事の請負契約を電子契約で締結することは可能です。
電子契約では、契約内容を保存・印刷できるか、改変の有無を確認できるか、添付図面や約款も同時に保存できるか確認してください。
契約サービスの閲覧期限がある場合は、契約後すぐに全データを保存しましょう。
契約書は第三者に見てもらえますか?
契約前であれば、不動産・建築契約に詳しい弁護士、建築士、住宅相談窓口などへ相談できます。
契約額が数千万円になることを考えれば、専門家への相談費用を惜しむ合理性は低いといえます。
分からない条項を残したまま契約する方が、将来の損失は大きくなります。
まとめ|書類一式を確認する
注文住宅の建築請負契約では、契約書の金額だけを確認して署名してはいけません。
確認すべき書類は次のとおりです。
- 工事請負契約書
- 工事請負契約約款
- 設計図書
- 仕様書
- 見積書・内訳書
- 工程表
- 仕上表
- 設備資料
特に重要な確認ポイントを整理します。
- 工事範囲と契約金額を一致させる
- 未確定仕様を一覧化する
- 別途工事と概算項目を確認する
- 一式表記の内容を確認する
- 支払時期を工事の進捗と比較する
- 追加変更は金額確認後に書面で承認する
- 資材価格上昇時の条件を確認する
- 遅延時の対応を確認する
- 保証と瑕疵保険を確認する
- 解除条件と違約金を確認する
契約を急かされても、理解できていない書類へ署名してはいけません。
営業担当者との関係を悪くしたくないという理由で契約を急ぐのは、本末転倒です。建築請負契約は、住宅会社への信頼を示す儀式ではなく、双方の権利と義務を決める法的な手続きです。
分からない項目は質問し、回答を書面に残し、家族全員が納得してから契約してください。
※契約の解除可否や違約金などは、個別の契約内容と事情によって判断が異なります。重大な判断をする場合は、契約書類をそろえたうえで、弁護士や公的な住宅相談窓口へ相談してください。
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