
注文住宅の完成が近づくと、引き渡し前に「施主検査」や「完成確認」と呼ばれる確認の機会が設けられます。
施主検査では、完成した住宅が契約書、図面、仕様書どおりに施工されているか、傷や汚れ、不具合がないかを施主自身が確認します。
しかし、初めて住宅を建てる方にとっては、「どこまで確認すればよいのか」「小さな傷も指摘してよいのか」「補修が終わる前に引き渡しを受けても大丈夫なのか」と判断に迷うことも多いでしょう。
施主検査は、施工ミスを施主だけで見抜くためのものではありません。注文した内容と完成した住宅を照合し、気になる点を住宅会社と共有して、補修や説明が必要な項目を引き渡し前に明確にするための重要な機会です。
この記事では、注文住宅の施主検査で確認する場所、必要な持ち物、検査の進め方、指摘箇所の記録方法、補修後の再確認、検査済証や保証書など引き渡し前に確認すべき書類を解説します。
この記事のポイント
- 契約書・図面・仕様書を持参する
- 外回りから室内まで順番に確認する
- 傷だけでなく動作と施工内容を確認する
- 気になる箇所は写真と番号で記録する
- 補修内容と完了期限を書面で決める
- 補修後は再検査を行う
- 検査済証と保証書類を確認する
- 不明点を残したまま完了確認しない
結論|図面・動作・書類を確認する

施主検査では、次の3つを分けて確認してください。
- 契約どおりに完成しているか
- 傷・汚れ・不具合がないか
- 引き渡しに必要な書類がそろっているか
住宅紛争処理支援センターは、住宅の引き渡し時には、契約書、見積書、仕様書、詳細図などと完成した建物を照合し、注文した内容どおりにできているか確認することを案内しています。また、不具合があれば文書で指摘し、補修完了日を決め、補修後の確認検査を行うことも重要です。
施主検査では、傷や汚れだけを探してはいけません。
次の内容も確認します。
- 部屋の位置と広さ
- 窓やドアの種類
- 設備の商品と型番
- コンセントやスイッチの位置
- 収納内部の仕様
- 換気設備の動作
- 水回りの動作
- 外構の施工内容
- 追加・変更工事の反映
- 未完成工事の有無
検査当日にすべての補修が終わるとは限りません。
重要なのは、指摘事項を曖昧にせず、次の内容を書面に残すことです。
- 指摘場所
- 現在の状態
- 補修方法
- 補修期限
- 再確認日
- 担当者
- 引き渡しへの影響
「引き渡し後に対応します」という口約束だけで終わらせず、指摘一覧と補修予定を書面で受け取りましょう。
施主検査とは

施主検査とは、完成した注文住宅を施主が確認する機会の一般的な呼び方です。
住宅会社によっては、次の名称が使われることがあります。
- 施主検査
- 完成確認
- 建主検査
- 内覧会
- 引き渡し前検査
- 竣工確認
名称が違っても、主な目的は、契約内容と完成した住宅を照合し、引き渡し前に不具合や未完成部分を確認することです。
完了検査とは異なる
施主検査と、建築基準法に基づく完了検査は別のものです。
完了検査は、建築主事または指定確認検査機関が、完成した建物が確認申請の内容や建築基準関係規定に適合しているかを確認する法定検査です。完了検査に合格すると検査済証が交付されます。
一方、施主検査では次のような内容を確認します。
- 契約した仕様と一致しているか
- 傷や汚れがないか
- 建具や設備が正常に動くか
- 追加工事が反映されているか
- 使い勝手に問題がないか
- 未完成部分が残っていないか
完了検査に合格していても、床の傷、扉の調整不良、コンセント位置の間違いなどがないことまで保証されるわけではありません。
反対に、施主検査で見た目に問題がなくても、法定の完了検査に合格したとは限りません。
両方を分けて確認してください。
住宅会社の社内検査とも異なる
施主検査の前に、施工会社の社内検査や工事監理者による竣工確認が行われることがあります。
住宅会社へ次の点を確認してください。
- 社内検査は実施済みか
- 指摘事項は何件あったか
- 補修は完了しているか
- 工事監理者の確認は終わっているか
- 検査記録を見せてもらえるか
- 完了検査は終わっているか
- 検査済証は交付されているか
施主検査が、住宅会社による最初の完成確認になっていないか確認しましょう。
施主検査の時期
施主検査は、建物がほぼ完成し、清掃が終わったあと、引き渡し前に行うのが一般的です。
適切な時期は、次の条件を満たした段階です。
- 建物本体が完成している
- 住宅設備が設置されている
- 電気・水道が使用できる
- 建具が取り付けられている
- 内装が完成している
- 清掃が終わっている
- 外構の施工状況を確認できる
- 図面・仕様書が最終版になっている
未完成部分が多い状態では、施工中の場所と不具合を区別しにくくなります。
住宅会社から施主検査の日程を提示されたら、次の質問をしてください。
- 建物はすべて完成していますか
- 清掃は完了していますか
- 水道と電気は使えますか
- 設備の動作確認はできますか
- 外構は完成していますか
- 社内検査は終わっていますか
- 完了検査は終わっていますか
- 補修後の再確認日は確保できますか
引き渡し直前すぎる日程に注意
施主検査と引き渡しの間が短すぎると、補修する時間がありません。
例えば、施主検査の翌日に引き渡しが予定されている場合、複数の補修が見つかっても対応できない可能性があります。
検査日を決めるときは、指摘箇所の補修と再確認に必要な日数を確保してください。
引っ越し日を引き渡し日の直後に設定すると、補修期間を取りにくくなります。
施主検査の所要時間
施主検査に必要な時間は、建物の大きさ、確認する人数、指摘箇所の数によって変わります。
住宅会社から短時間だけ提示された場合でも、住宅全体を確認できる時間を確保してください。
検査時間を考える際は、次の作業を含めます。
- 外回りの確認
- 各部屋の確認
- 建具の開閉
- 設備の動作確認
- 水を流す
- コンセントや照明の確認
- 図面との照合
- 指摘箇所の写真撮影
- 指摘一覧の確認
- 今後の補修方法の打ち合わせ
検査中に急かされると、確認漏れが起きやすくなります。
時間が足りない場合は、別の日に再確認できるか相談してください。
施主検査の持ち物
最終図面
持参する図面は、住宅会社と最終承認した最新版です。
- 配置図
- 平面図
- 立面図
- 電気配線図
- 仕上表
- 住宅設備一覧
- 収納・造作図
- 外構図
作成日と版番号を確認してください。
古い図面を持参すると、正式に変更した部分を施工ミスと誤認する可能性があります。
契約書・仕様書
次の書類も確認に使います。
- 工事請負契約書
- 変更契約書
- 最終見積書
- 標準仕様書
- 追加・変更工事一覧
- ショールーム仕様書
- 商品の型番一覧
特に、契約後に追加した設備、棚、コンセント、下地補強などを確認してください。
スマートフォン・カメラ
気になる場所を撮影します。
写真には、どの部屋のどの部分か分かる情報を残してください。
例えば次のように記録します。
指摘01:1階LDK・南側掃き出し窓・サッシ枠の傷
指摘02:2階寝室・東側壁・クロスの浮き
指摘03:洗面室・洗面台下・給水接続部の水滴
全体写真と接近写真の両方を撮ると、場所と状態を確認しやすくなります。
マスキングテープ
傷や汚れの場所へ印を付けるために使用します。
ただし、住宅会社が専用の指摘シールを用意している場合があります。
壁紙や塗装を傷める可能性があるため、使用前に住宅会社へ確認してください。
メジャー
次の寸法を確認する場合に使います。
- 家具設置場所
- 冷蔵庫置き場
- 洗濯機置き場
- カーテン
- 収納
- 通路幅
- コンセントの高さ
設計図との数ミリ単位の差を施主がすべて測定する必要はありません。
入居後の家具や家電が設置できるかを中心に確認します。
水平器
小型の水平器を持参する方法もあります。
ただし、床や棚がわずかに傾いて見えても、測定場所や器具の精度によって結果が変わります。
構造上の傾斜が疑われる場合は、施主の簡易測定だけで判断せず、住宅会社や第三者の建築士へ正式な測定を依頼してください。
懐中電灯
収納内部、床下点検口、天井点検口、設備の裏側などを確認するために使います。
自分で床下や小屋裏へ入るのは避けてください。
安全上の問題があるため、住宅会社の担当者に確認してもらいます。
筆記用具・チェックリスト
指摘箇所と住宅会社の回答を記録します。
スマートフォンだけで管理すると、その場で一覧を共有しにくい場合があります。
紙のチェックリストと写真を併用すると整理しやすくなります。
スリッパ・手袋
住宅会社から指定がある場合は従ってください。
床を傷つけないよう、金具や硬い装飾が付いた靴・スリッパは避けます。
検査前に行う準備
最新の変更一覧を作る
契約後に変更した項目を一覧にします。
- 間取り変更
- 窓の追加・削除
- キッチン変更
- コンセント追加
- 照明変更
- 棚の追加
- 下地補強
- 壁紙変更
- 外構変更
変更箇所は、施工間違いや反映漏れが起きやすいため、優先して確認してください。
家族で役割を分ける
複数人で参加する場合は、確認場所を分担します。
例:
- 1人目:図面・仕様との照合
- 2人目:傷・汚れ・建具
- 3人目:写真・指摘番号の記録
ただし、全員が別々に動くと指摘内容が重複するため、最後に一覧をまとめます。
家具・家電の寸法を確認する
施主検査は、家具や家電を設置する場所を実際に測れる機会でもあります。
確認したいものは次のとおりです。
- 冷蔵庫
- 洗濯機
- 衣類乾燥機
- 食器棚
- ソファ
- ダイニングテーブル
- ベッド
- カーテン
- テレビ
- 収納ケース
搬入経路、ドア幅、階段幅も確認します。
施主検査の進め方
検査では、外から内へ、または1階から2階へなど、一定の順番で確認してください。
思いついた場所へ移動すると、確認漏れが起きやすくなります。
おすすめの順番は次のとおりです。
- 敷地・外構
- 基礎・外壁・屋根
- 玄関
- 1階の各部屋
- 水回り
- 階段
- 2階の各部屋
- 収納
- 電気・設備
- バルコニー
- 床下・天井点検口
- 書類・保証・取扱説明
各部屋では、次の順番で見ると整理しやすくなります。
- 天井
- 壁
- 窓
- ドア
- 収納
- コンセント・スイッチ
- 床
敷地・外構の確認

建物配置
配置図と現地を照合します。
- 建物の位置
- 道路との距離
- 隣地境界との距離
- 玄関の位置
- 駐車場
- 庭
- ゴミ置き場
- 給湯器
- 室外機
契約時の配置図と異なる点がないか確認してください。
駐車場
- 車を出し入れできるか
- 幅と奥行き
- 道路との段差
- 勾配
- 排水
- コンクリートの状態
- 車止め
- カーポート
- 柱の位置
実際に車を入れられる場合は、住宅会社へ許可を得て確認します。
アプローチ・玄関ポーチ
- 階段の高さ
- 手すり
- タイル
- ひび割れ
- 欠け
- 排水
- 滑りやすさ
- 照明
- インターホン
- 表札
- ポスト
- 宅配ボックス
雨が降った際に水がたまりそうな場所がないかも確認します。
フェンス・境界
- 境界位置
- フェンスの範囲
- 高さ
- 傾き
- 固定
- ブロック
- 隣地との隙間
境界標や境界杭を住宅会社と確認し、位置が分かる写真を残しておくとよいでしょう。
雨水排水
- 雨水桝
- 排水溝
- 雨どい
- 縦どい
- 水の流れる方向
- 隣地への流出
- 土の勾配
外構が未完成の場合は、完成予定日と確認方法を決めてください。
基礎・外壁・屋根の確認
基礎
目視できる範囲で次の点を確認します。
- 大きなひび割れ
- 欠け
- 汚れ
- 配管貫通部
- 換気口
- 化粧モルタル
- 地面との高さ
小さな表面のひび割れだけで構造上の問題とは断定できません。
気になる箇所を撮影し、原因と補修の必要性を工事監理者へ確認します。
外壁
- 傷
- 欠け
- 色むら
- 汚れ
- シーリング
- 釘やビス
- 張り分け
- 配管貫通部
- 換気フード
- 雨どい
高い場所を無理に確認する必要はありません。
住宅会社へ社内検査の写真や記録を見せてもらいます。
屋根
施主が屋根へ上るのは危険です。
次の内容を住宅会社へ確認します。
- 屋根材
- 色
- 雨どい
- 太陽光パネル
- アンテナ
- 雪止め
- 検査写真
- 防水検査
契約した仕様との一致を、図面や工事写真で確認します。
玄関の確認
- 玄関ドアの開閉
- 鍵
- 電気錠
- ドアクローザー
- 傷
- 気密材
- 下枠
- タイル
- 収納
- 棚
- 照明
- コンセント
- インターホン
玄関ドアを開けた状態で、壁、収納、照明などと干渉しないか確認します。
電子錠を採用している場合は、停電時や電池切れ時の開け方も聞いてください。
床・壁・天井の確認
床
- 傷
- 汚れ
- へこみ
- 浮き
- きしみ
- 継ぎ目
- 色違い
- 歩いたときの違和感
- 床見切り
部屋全体を歩き、特定の場所だけ大きく沈む、音が出るなどの違和感がないか確認します。
床の傾斜が疑われる場合は、簡易水平器だけで断定せず、測定方法を住宅会社へ確認してください。
壁紙
- 傷
- 汚れ
- 破れ
- 継ぎ目
- 浮き
- しわ
- 隙間
- 品番
- アクセントクロス
照明の当たり方によって見え方が変わるため、複数方向から確認します。
補修によってかえって目立つ可能性もあるため、補修方法を聞いてから対応を決めてください。
天井
- 傷
- 汚れ
- 壁紙の継ぎ目
- 照明位置
- 点検口
- 火災警報器
- 換気口
- 下がり天井
- 勾配天井
設計図どおりの高さや形状になっているか確認します。
窓・サッシの確認
すべての窓を実際に開閉します。
- 開閉のしやすさ
- 鍵
- ハンドル
- 網戸
- シャッター
- ガラス
- 傷
- サッシ枠
- 結露排水部
- 気密材
- 窓の種類
- 高さ
窓を閉めたときに隙間や大きな音がないか、鍵を無理なく操作できるか確認します。
電動シャッターの場合は、すべて動かし、非常時の操作方法も聞いてください。
室内ドア・建具の確認
すべての室内ドア、引き戸、折れ戸、収納扉を開閉します。
- 開閉
- 鍵
- 取っ手
- 傷
- こすれ
- 傾き
- 戸当たり
- ソフトクローズ
- 壁との干渉
- 床との隙間
ドアを開けた状態で、スイッチ、家具、別のドアなどと干渉しないか確認します。
引き戸が自然に動く場合は、床や建具の調整が必要か質問してください。
収納の確認
- 棚の枚数
- 棚の高さ
- 棚の奥行き
- 可動棚
- 枕棚
- ハンガーパイプ
- 引き出し
- コンセント
- 照明
- 扉
- 傷
- 収納内部の仕上げ
図面や仕様書に記載された棚・パイプがすべて設置されているか確認します。
将来設置する予定の家具や収納ケースが入るかも測ってください。
キッチンの確認
商品・仕様
- メーカー
- シリーズ
- 型番
- サイズ
- 扉色
- ワークトップ
- シンク
- 水栓
- 食器洗い乾燥機
- 加熱機器
- レンジフード
ショールームで選んだ仕様書と照合します。
動作
- 水を流す
- お湯を出す
- 排水する
- 扉を開閉する
- 引き出しを動かす
- 食器洗い乾燥機を確認する
- 加熱機器を確認する
- レンジフードを動かす
- 照明を点灯する
給排水部分から水漏れがないか、収納内部も確認してください。
設備の本格的な操作は、住宅会社の担当者の指示に従って行います。
周辺
- 冷蔵庫置き場
- 食器棚
- ゴミ箱
- コンセント
- 通路幅
- 床下収納
- 点検口
- キッチンパネル
扉や引き出しを開けた状態でも人が通れるか確認します。
浴室の確認
- メーカー
- シリーズ
- サイズ
- 浴槽
- 壁
- 床
- 水栓
- シャワー
- 鏡
- 棚
- 手すり
- 換気設備
- 浴室乾燥機
- 窓
- ドア
- 排水口
可能であれば水を流し、排水を確認します。
浴槽へ水をためる試験を施主検査で行うかどうかは、住宅会社へ事前に確認してください。
浴室ドアの開閉、ロック、換気設備の動作も確認します。
洗面室・トイレの確認
洗面室
- 洗面台
- 鏡
- 収納
- 水栓
- 給湯
- 排水
- コンセント
- タオル掛け
- 洗濯機置き場
- 防水パン
- 排水口
- 衣類乾燥機用設備
洗濯機と乾燥機の寸法、給排水、コンセントの位置を確認します。
トイレ
- 便器の型番
- 便座
- 洗浄
- 排水
- 換気
- 手洗い
- 紙巻き器
- タオル掛け
- 収納
- コンセント
- ドアの鍵
便器や手洗いの周囲から水漏れがないか確認します。
コンセント・スイッチの確認
コンセント
最終電気図と現地を照合します。
- 数
- 位置
- 高さ
- 専用回路
- 屋外コンセント
- 防水コンセント
- EV充電設備
- エアコン用コンセント
- LAN端子
- テレビ端子
コンセントが家具や建具の裏に隠れないか確認してください。
通電確認については、住宅会社が検査機器で実施した記録を確認する方法もあります。
スイッチ
すべてのスイッチを操作し、どの照明や設備が動くか確認します。
- スイッチ位置
- 点灯する照明
- 3路スイッチ
- 調光
- 調色
- 人感センサー
- 換気扇
- 電動シャッター
スイッチに名称表示が必要な場所は、分かりやすくなっているか確認します。
照明・設備の確認
- 照明の位置
- 器具
- 明るさ
- 色温度
- 点灯
- 人感センサー
- 火災警報器
- インターホン
- 分電盤
- 太陽光発電
- 蓄電池
- 換気設備
- 給湯器
契約した設備がすべて設置され、型番が一致しているか確認します。
住宅設備は、取扱説明を受ける前に勝手に細かな設定を変更しないようにしてください。
換気設備の確認
- 給気口
- 排気口
- 換気扇
- ダクト
- 屋外フード
- フィルター
- 点検口
- スイッチ
- 24時間換気
- メンテナンス方法
給気口が家具やカーテンでふさがれない位置か確認します。
フィルターの外し方、掃除方法、交換時期も聞いてください。
階段・手すりの確認
- 階段幅
- 段差
- 傷
- きしみ
- 手すり
- 固定
- 照明
- スイッチ
- 頭上の高さ
- 滑り止め
実際に上り下りし、歩きにくさや危険を感じる場所がないか確認します。
小さな子どもや高齢者がいる家庭では、転落防止や手すりの位置も見てください。
バルコニーの確認
- 床の状態
- 防水
- 排水口
- オーバーフロー管
- 手すり
- 笠木
- 壁
- サッシ
- 物干し
- 傷
- 水たまり
防水層を傷つける可能性があるため、硬い物を落としたり、工具を使ったりしないでください。
排水試験の実施記録を住宅会社へ確認します。
床下・小屋裏の確認
施主が床下や小屋裏へ入る必要はありません。
点検口から確認できる範囲を見るか、住宅会社の担当者へ確認してもらいます。
床下
- 水漏れ
- 配管
- 断熱材
- 工事残材
- 清掃
- 湿気
- 基礎内部
小屋裏
- 雨漏り跡
- 断熱材
- 配線
- 換気
- 工事残材
- 屋根下地
安全上の理由から、専門家以外が奥まで入るのは避けてください。
追加・変更工事の確認
契約後に変更した場所は、特に注意して確認します。
- 追加したコンセント
- 削除した窓
- 変更した設備
- 追加した棚
- 下地補強
- 壁紙変更
- 照明変更
- 外構変更
- 造作家具
追加工事が施工されているだけでなく、最終見積書の金額と一致しているかも確認します。
契約後の変更は、図面、仕様書、見積書、変更契約書のすべてへ反映されている必要があります。
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小さな傷も指摘してよい?
気になる傷や汚れがあれば、遠慮せず住宅会社へ確認して構いません。
ただし、すべてを無条件で交換できるとは限りません。
傷の場所、程度、補修方法によっては、交換より部分補修の方が適切な場合があります。
確認する内容は次のとおりです。
- 引き渡し前からあった傷か
- 補修可能か
- 交換が必要か
- 補修後に目立たなくなるか
- 補修による別の影響がないか
- 保証への影響
- 補修期限
傷だけでなく、契約した仕様との違いや設備の動作不良を優先して確認してください。
指摘箇所の記録方法
番号を付ける
指摘箇所へ連番を付けます。
例:
| 番号 | 場所 | 指摘内容 | 対応 | 期限 |
|---|---|---|---|---|
| 01 | 玄関ドア | 内側に傷 | 補修 | 9月10日 |
| 02 | LDK南側 | クロスの浮き | 張り直し | 9月10日 |
| 03 | 洗面台下 | 水滴あり | 配管確認 | 9月8日 |
| 04 | 寝室 | コンセント位置相違 | 図面照合 | 9月7日 |
写真ファイルにも同じ番号を付けます。
住宅会社と共有する
施主側だけで記録せず、住宅会社にも同じ一覧を渡します。
確認する内容は次のとおりです。
- 住宅会社が指摘を認識している
- 対応方法が決まっている
- 補修期限が決まっている
- 担当者が決まっている
- 再確認方法が決まっている
完了印を急いで押さない
住宅会社から検査完了書や確認書への署名を求められた場合は、記載内容を確認します。
指摘箇所が残っているのに「すべて完了した」とする書面へ署名してはいけません。
住宅紛争処理支援センターも、指摘した工事が直っていない場合は、完了確認をせず、写真を残して再補修を求めるよう案内しています。
補修後は再検査する
施主検査で指摘した箇所は、補修が終わったあとに再確認します。
再検査で確認すること
- 指摘した場所が直っているか
- 補修方法が合意内容と一致するか
- 補修によって別の傷が付いていないか
- 設備が正常に動くか
- 清掃が終わっているか
- 未完成部分が残っていないか
補修前と補修後の写真を保存してください。
再補修が必要な場合
補修後も不具合が残っている場合は、再度書面で指摘します。
住宅紛争処理支援センターは、引き渡し前の補修が雑だった場合や、補修方法に疑問がある場合には、専門家の助言を受ける方法も示しています。
重大な問題が疑われる場合は、住宅会社の説明だけでなく、第三者の建築士へ確認を依頼することも検討してください。
引き渡し前に確認する書類
施主検査と同時に、引き渡し時に受け取る書類を確認します。
建築・検査関係
- 確認済証
- 検査済証
- 確認申請図書
- 工事監理報告書
- 完了検査関係書類
- 中間検査合格証
- 建設住宅性能評価書
- 長期優良住宅認定通知書
建築主は、工事完了後に完了検査を受け、検査済証の交付を受ける必要があります。検査済証は、将来の増改築や売却時にも重要な書類となるため、写しではなく交付される書類の扱いを確認し、大切に保管してください。
契約・設計関係
- 工事請負契約書
- 変更契約書
- 最終図面
- 最終仕様書
- 最終見積書
- 変更履歴
- 外構図
- 電気設備図
- 給排水設備図
最終的に施工された内容を反映した竣工図が交付されるか確認してください。
保証・保険関係
- 住宅瑕疵担保責任保険の保険付保証明書
- 住宅会社の保証書
- 地盤保証書
- 防蟻保証書
- 住宅設備保証書
- 太陽光発電保証書
- 防水保証書
- 完成保証関係書類
保証開始日、保証期間、対象部位、免責事項、点検条件を確認します。
設備関係
- 取扱説明書
- メーカー保証書
- 設備一覧
- 型番一覧
- メンテナンス方法
- フィルター交換方法
- 消耗品一覧
- 緊急連絡先
紙だけでなく、電子データも自分のパソコンやクラウドへ保存してください。
鍵・付属品
- 玄関鍵
- 電子錠
- 勝手口鍵
- 窓鍵
- シャッターリモコン
- 給湯器リモコン
- 照明リモコン
- エアコンリモコン
- 宅配ボックス鍵
- 物置鍵
- 予備部品
- 補修用材料
受け取った数量を一覧で確認します。
検査済証がない場合
住宅会社から「検査済証は後日渡します」と説明された場合は、次の点を確認してください。
- 完了検査は申請済みか
- 完了検査日はいつか
- 検査結果はどうだったか
- 検査済証の交付予定日
- 引き渡しを先に行う理由
- 補助金や登記への影響
- 住宅ローンへの影響
検査済証は、建物が完了検査を受けたことを示す重要な書類です。
曖昧なまま引き渡しを受けず、設計者、工事監理者、確認検査機関などへ状況を確認してください。
補修前に引き渡しを受けてもよい?
小さな補修だけが残っており、生活に支障がない場合には、補修期限を書面で決めたうえで引き渡しを受けるケースがあります。
一方、次のような状態では慎重な判断が必要です。
- 水漏れがある
- 設備が動かない
- 契約と違う仕様がある
- 安全性に関する問題がある
- 未完成工事が多い
- 補修方法が決まっていない
- 補修期限が決まっていない
- 検査済証を確認できない
- 住宅会社の説明が変わる
不具合や未完成工事が残った状態で引き渡しを受ける場合は、必ず書面を作成します。
書面には次の内容を記載してください。
- 残工事・補修箇所
- 補修方法
- 完了期限
- 再確認日
- 鍵の管理
- 引き渡し日
- 費用負担
- 保証開始日
- 最終金の扱い
最終金はいつ支払う?
最終金の支払時期は、工事請負契約書と支払予定表で確認します。
施主検査で不具合が見つかったからといって、施主の判断だけで最終金をすべて止めてよいとは限りません。
一方、契約内容に適合しない重大な不具合があり、補修されていない場合には、報酬残金の支払いとの関係が問題になることがあります。住宅紛争処理支援センターの相談事例でも、不具合の内容や補修状況によっては、補修がされるまで残代金の支払いを拒める可能性が示されています。
判断には次の内容が関係します。
- 契約書の支払条件
- 不具合の内容
- 工事の完成状況
- 補修の可否
- 引き渡しの有無
- 住宅会社との合意
- 争いのない金額
高額な残代金を自己判断で支払停止すると、施主側の契約違反を主張される可能性もあります。
問題が大きい場合は、契約書、指摘一覧、写真、住宅会社の回答をそろえ、住まいるダイヤルや弁護士へ相談してください。
第三者検査は必要?
施主検査へ第三者の建築士やホームインスペクターへ同行してもらう方法があります。
必ず依頼しなければならないものではありませんが、次のような場合は検討できます。
- 自分だけで確認するのが不安
- 工事中に複数の施工ミスがあった
- 住宅会社との信頼関係に不安がある
- 契約と違う施工があった
- 床や壁の傾斜が気になる
- 雨漏りや水漏れが疑われる
- 補修方法に納得できない
- 高度な設備や特殊な構造がある
依頼前に住宅会社へ次の点を確認してください。
- 第三者の同行を認めるか
- 検査できる範囲
- 図面を提供できるか
- 検査時間
- 指摘事項の伝達方法
- 是正確認の方法
第三者検査を依頼しても、住宅会社や工事監理者の責任がなくなるわけではありません。
注意したい検査方法
傷探しだけで終わる
表面の傷や汚れだけに集中すると、設備の動作、図面との相違、追加工事の反映漏れを見落とします。
優先順位は次のとおりです。
- 安全に関する問題
- 契約・図面との相違
- 設備の動作不良
- 水漏れ・排水
- 建具の不具合
- 傷・汚れ
その場で補修を決める
小さな汚れであれば当日清掃できることもあります。
しかし、設備交換、床の張り直し、外壁補修などは、方法によって周囲へ影響する可能性があります。
補修方法、範囲、仕上がり、保証への影響を確認してください。
口頭だけで終わらせる
現場担当者が「直しておきます」と答えても、指摘一覧へ記載されていなければ、引き継がれない可能性があります。
すべての指摘を番号付きで記録し、住宅会社と共有します。
引っ越しを急ぎすぎる
引き渡し直後に引っ越す予定を組むと、補修期間を確保できません。
家具や荷物が入ると、引き渡し前からあった傷と、引っ越しで付いた傷の区別も難しくなります。
できる限り、補修と再確認が終わってから引っ越しましょう。
施主検査チェックリスト
準備
□ 最終図面を用意した
□ 仕様書を用意した
□ 最終見積書を用意した
□ 変更一覧を用意した
□ スマートフォンを用意した
□ メジャーを用意した
□ 懐中電灯を用意した
□ チェックリストを用意した
□ 検査時間を確保した
□ 再検査日を確認した
外回り
□ 建物配置を確認した
□ 駐車場を確認した
□ アプローチを確認した
□ 玄関ポーチを確認した
□ フェンスを確認した
□ 境界を確認した
□ 外壁を確認した
□ 基礎を確認した
□ 雨どいを確認した
□ 雨水排水を確認した
□ 給湯器を確認した
□ 室外機位置を確認した
玄関
□ 玄関ドアを確認した
□ 鍵を確認した
□ 電気錠を確認した
□ タイルを確認した
□ 玄関収納を確認した
□ インターホンを確認した
□ 玄関照明を確認した
各部屋
□ 床の傷を確認した
□ 床のきしみを確認した
□ 壁紙を確認した
□ 天井を確認した
□ 窓を開閉した
□ 網戸を確認した
□ シャッターを確認した
□ 室内ドアを開閉した
□ 収納を確認した
□ 棚の枚数を確認した
□ コンセントを確認した
□ スイッチを確認した
□ 照明を確認した
□ 下地補強を確認した
キッチン
□ 商品と型番を確認した
□ 水を流した
□ お湯を確認した
□ 排水を確認した
□ 水漏れを確認した
□ 引き出しを確認した
□ 食洗機を確認した
□ 加熱機器を確認した
□ レンジフードを確認した
□ コンセントを確認した
浴室・洗面・トイレ
□ 浴室の仕様を確認した
□ シャワーを確認した
□ 排水を確認した
□ 換気設備を確認した
□ 浴室乾燥機を確認した
□ 洗面台を確認した
□ 洗面台下の水漏れを確認した
□ 洗濯機置き場を確認した
□ トイレを流した
□ トイレの換気を確認した
電気・設備
□ 分電盤を確認した
□ 給湯器を確認した
□ 24時間換気を確認した
□ 火災警報器を確認した
□ LAN端子を確認した
□ テレビ端子を確認した
□ エアコン設備を確認した
□ 太陽光設備を確認した
□ 蓄電池を確認した
□ 設備の説明を受けた
指摘・補修
□ 指摘箇所に番号を付けた
□ 全体写真を撮った
□ 接近写真を撮った
□ 住宅会社と一覧を共有した
□ 補修方法を確認した
□ 補修期限を決めた
□ 再確認日を決めた
□ 担当者を確認した
□ 完了前に確認書へ署名していない
書類
□ 確認済証を確認した
□ 検査済証を確認した
□ 工事監理報告書を確認した
□ 最終図面を受け取った
□ 保険付保証明書を確認した
□ 地盤保証書を確認した
□ 住宅会社の保証書を確認した
□ 設備保証書を確認した
□ 取扱説明書を確認した
□ 定期点検予定を確認した
気になる箇所の伝え方
住宅会社へ指摘するときは、感情ではなく、場所と状態を具体的に伝えます。
例:
施主検査で、1階LDK南側の掃き出し窓枠に約5センチの傷を確認しました。指摘番号は03です。補修方法と補修完了予定日をご提示ください。補修後、引き渡し前に再確認を希望します。
設備や図面との相違は、次のように伝えます。
最終電気図では、2階主寝室の北側壁に2口コンセントが記載されていますが、現地で確認できませんでした。図面との整合性をご確認いただき、施工状況、修正方法、費用負担、工期への影響を書面で回答してください。
伝える内容は次の5点です。
- 確認日
- 場所
- 現在の状態
- 図面・契約との違い
- 求める対応と期限
対応してもらえない場合
住宅会社が指摘へ対応しない場合は、次の資料を整理します。
- 工事請負契約書
- 契約約款
- 最終図面
- 仕様書
- 見積書
- 変更契約書
- 指摘一覧
- 写真
- メール
- 住宅会社の回答
- 補修記録
まず営業担当者だけでなく、現場監督、工事監理者、支店長、本社相談窓口へ書面で回答を求めます。
それでも解決しない場合は、住まいるダイヤルや弁護士、第三者の建築士へ相談します。
住まいるダイヤルは、国土交通大臣の指定を受けた住宅専門の相談窓口です。
保険付き住宅や建設住宅性能評価書が交付された住宅では、住宅紛争審査会による紛争処理を利用できる場合もあります。
よくある質問
施主検査は必ず行うべきですか?
住宅会社との契約や進行方法によって名称は異なりますが、引き渡し前に完成した住宅を施主自身で確認する機会は設けるべきです。
契約内容、設備の動作、不具合、未完成工事、引き渡し書類を確認してください。
施主検査で傷を何個まで指摘できますか?
指摘数に一律の上限はありません。
気になる箇所をすべて記録し、住宅会社と補修の必要性や方法を確認してください。
ただし、補修によってかえって仕上がりが悪くなる可能性もあるため、補修方法まで確認します。
水は実際に流してよいですか?
住宅会社の担当者へ確認したうえで、キッチン、洗面、浴室、トイレなどの給排水を確認します。
設備の使用準備が終わっていない場合もあるため、勝手に操作しないでください。
コンセントは通電確認できますか?
住宅会社が通電検査を行い、その結果を説明する場合があります。
簡易的に確認する場合も、住宅会社の許可と立ち会いのもとで行ってください。
分電盤や配線部分を施主が操作するのは避けます。
傷を見つけたら交換してもらえますか?
傷の場所や程度によって、清掃、部分補修、部品交換などの対応が考えられます。
必ず新品交換になるとは限りません。
補修方法と、補修後の見た目や保証への影響を確認してください。
補修が終わる前に引き渡しを受けてもよいですか?
軽微な補修のみで、内容、期限、再確認方法が書面化されている場合には、引き渡しを受けるケースがあります。
水漏れ、安全上の問題、契約と異なる施工、設備の未完成などがある場合は、専門家へ相談したうえで慎重に判断してください。
検査済証はいつ受け取りますか?
一般的には、完了検査に合格したあとに検査済証が交付され、住宅会社などを通じて建築主へ渡されます。
引き渡し時点で確認できない場合は、完了検査の状況と交付予定日を確認してください。
施主検査に第三者を同行させてもよいですか?
住宅会社の承諾を得たうえで、建築士などの第三者へ同行を依頼できる場合があります。
依頼する場合は、検査時間、確認範囲、図面提供、指摘事項の伝達方法を事前に決めてください。
最終金を払ってから補修すると言われました
契約書の支払条件と、不具合・未完成工事の内容を確認する必要があります。
施主の判断だけで支払いを止めるのではなく、指摘一覧、写真、契約書をそろえ、住宅専門の相談窓口や弁護士へ相談してください。
引き渡し後に傷を見つけたらどうなりますか?
引き渡し後に見つけた傷が、引き渡し前からあったものか、引っ越しなどで付いたものか判断しにくくなることがあります。
気づいた時点ですぐに写真を撮り、住宅会社へ書面で連絡してください。
まとめ|補修完了まで記録する
注文住宅の施主検査は、完成した住宅が契約した内容どおりに施工されているかを、引き渡し前に確認する重要な機会です。
確認するポイントを整理します。
- 最終図面と仕様書を持参する
- 追加・変更工事を優先して確認する
- 外から室内へ順番に確認する
- すべての窓とドアを動かす
- 水回りの給排水を確認する
- コンセントとスイッチを確認する
- 設備の商品と型番を確認する
- 収納内部を確認する
- 外構と雨水排水を確認する
- 指摘箇所を写真に残す
- 指摘へ番号を付ける
- 補修方法と期限を書面化する
- 補修後に再検査する
- 検査済証を確認する
- 保証書と取扱説明書を受け取る
- 不明点が残ったまま完了確認しない
最も避けたいのは、検査当日に気になる点を口頭で伝えただけで、そのまま引き渡しを受けることです。
指摘事項は、次の形で残してください。
場所・状態・写真・補修方法・補修期限・再確認日
施主検査で見つかった不具合は、住宅会社を責めるための材料ではありません。
引き渡し前に住宅会社と問題を共有し、契約どおりの状態へ整えるための確認事項です。
小さな疑問でも遠慮せず質問し、納得できる説明と補修を確認してから、新しい住宅の引き渡しを受けましょう。
※補修、引き渡し、最終金の支払いに関する判断は、工事請負契約書、工事の完成状況、不具合の内容によって異なります。重大な不具合や契約上の争いがある場合は、自己判断で支払い停止や補修工事を行わず、住宅専門の相談窓口や弁護士へ相談してください。
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